「安芸高田のアイデンティティーを500年残したい」と語った石丸市長…「20年後に安芸高田が潰れる」のに今投げだして都知事選に出馬していいのか
都知事選への出馬を表明した広島県安芸高田市の石丸伸二市長。SNSを通じた発信力で注目を集め、日本一バズる市長として話題を呼んでいた。みんかぶでも過去にロングインタビューを掲載したが、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は都知事としての資質については疑問を投げかける。連続3回寄稿の第1回は首長としての資質を改めて問うーー。
「20年後に安芸高田が潰れる」という言葉
石丸伸二安芸高田市長はふるさとである安芸高田を「ポイ捨て」にして都知事選挙に挑戦するとのことだ。自分はここまで無責任な市長を見たことがない。そのため、彼がいかに無責任な首長であるかを説明し、国民生活・経済・社会に影響を与える首長とはどうあるべきかを見直すきっかけとしたい。 石丸市長が安芸高田を「ポイ捨て」にした、というのは任期満了まで2か月残っているという類の批判ではない。昨年10月23日に行った住民向け財政説明会の内容を踏まえた上で、彼が安芸高田を捨てたと評価しているのだ。 石丸市長のお気に入りのフレーズは「20年後に安芸高田が潰れる」という言葉だ。そのため、彼が最も強く主張している内容は公共施設の整理・廃止である。同説明会では先々の財政推計見通しを公表し、公共施設の廃止に関するスケジュールが示されもした。
石丸市長の首長としての資質を問う
石丸市長が示した財政推計見通しは極めて雑であり、その内容の是非については再検討されるべきものだ。ただし、本稿ではその点は論じず、首長としての資質を問う観点から、彼の財政的主張を正しいものとした上であえて話を進めたい。 石丸市長が示す公共教施設の整理・廃止計画は、従来までの市の公共施設等総合管理計画を改訂したものだ。元々は2015年に作成された行政計画であり、当初案では20年間で30%以上の公共施設を廃止するというものだった。しかし、この計画は2021年度まではたったの4%しか削減が進んでおらず、その分の残存しているインフラの維持補修費がかかることになっている。 何故、過去に市が作った計画が上手く機能しなかったのだろうか。それはこの手の整理・廃止計画が政治的に極めて難しいからだ。各施設の既得権者はもちろん、各地域の住民も簡単には納得しないのは自明だ。そのため、政治的な抵抗にあって過去の計画は絵に描いた餅となったのだろう。
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