豊田章男会長にスバルのニュル参戦車デモランについて聞く 「追伸、ニュルは素晴らしい、でもラリーも忘れないでね」
■ 豊田章男会長、スバルのニュルブルクリンク24時間参戦車でデモラン 11月17日、スーパー耐久最終戦富士の決勝戦前に、スバルのニュルブルクリンク24時間参戦車「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2024」のデモンストレーション走行が行なわれた。このデモランでは、ドライバーを井口卓人選手が担当すると紹介されていたが、実際にデモランを終えてコクピットから登場したのはモリゾウ選手、トヨタ自動車 代表取締役会長の豊田章男氏だった。 【画像】スバルのドライバーやスバル 大崎社長と記念写真を撮るトヨタ 豊田章男会長 豊田章男氏はスバルのレーシングスーツで登場。決勝レースではさすがにルーキーレーシングのスーツに着替えていたが、決勝前のピットウォークでもスバルのスーツに加え、スバル傘、スバルイスでファンサービスを行なっているスバル推しの状態だった。 スバル 代表取締役社長CEO 大崎篤氏に、このデモランについて聞いたところ「モリゾウさんに、ある意味ハッパをかけられた」と、心境を語ってくれた。では、そのモリゾウさんこと豊田章男会長はデモランを終えてどのような気持ちだったのだろう。決勝スタート直前の豊田章男会長に聞いてみた。 ■ 「追伸、ニュルは素晴らしい、でもラリーも忘れないでね」 ──先ほど、スバルのニュルブルクリンク24時間参戦車でデモランをしました。どのような気持ちになりましたか? 豊田章男氏:スバルはニュルブルクリンク24時間レースにずっと出ていたでしょ。ニュルはクルマの開発にとっても、レース活動にとっても、厳しい道です。スバルはそれをずっとやってきて、その(クラス)優勝車両にここで乗れた。 運転をしていて見える風景は富士スピードウェイなんだけど、ニュルを運転している気分になりましたよね。 ──2025年は、ニュルブルクリンク参戦の準備もされているようですが……。 豊田章男氏:やはりニュルを走れてこそGRという名前の付くクルマだし、ニュルを走れてこそモリゾウが……。現在やろうとしていますから。 ──モリゾウさんとしては、2025年はニュルでスバルと戦いたいという気持ちがあるのでしょうか? 豊田章男氏:それもあるんだけど、スバルに言いたいのはラリーもついでにやったらと。 あ、それから「追伸、ニュルは素晴らしい、でもラリーも忘れないでね」と、モリゾウは語ったとよろしくね。 ■ ラリーにおけるライバルの登場を待ち望む豊田章男会長 TOYOTA GAZOO Racingが参戦する世界レベルの大会としてはWEC(世界耐久選手権)とWRC(世界ラリー選手権)が挙げられるが、WECは近年多くのメーカーが参戦しており、トヨタはフェラーリやポルシェと激闘を繰り広げている。トヨタ一強だった時代は終わり、増え続けるライバルとの戦いがシリーズを盛り上げている。WRCでライバルであるヒョンデも、プレミアムブランドであるジェネシスでのWEC参戦を発表しており、ハイパーカークラスではないもののメルセデスもWECに帰ってくる。 トヨタはその中で、コンストラクターズチャンピオン6連覇を成し遂げるなど、高まるシリーズ価値の中で戦いの物語を紡いでいる。 一方、WRCではヒョンデ、フォードといったライバルと激闘を繰り広げているものの、豊田章男会長はもっと多くのメーカーに参戦してほしいと思っているようだ。多くのライバルと戦うことで多くの物語が生まれ、モータースポーツの理解が進み、ドライバーの価値が高まり、クルマが特別なものになっていく。豊田章男会長はヒョンデと激しい争いをしつつ、新たなライバルの登場を歓迎。それにより、ラリーのスポーツとしての価値をさらに上げていこうとしている。
Car Watch,編集部:谷川 潔