世界初、eスポーツの勝敗を予測 NTTが脳波データを測定
NTTは18日、eスポーツ対戦直前の脳波に勝敗と強く関わるパターンがあることを世界で初めて突き止め、脳波データから直後の試合結果を高精度に予測することに成功したと発表した。将来的に、スポーツや医療、教育現場で活躍する人の脳状態の最適化によるパフォーマンス向上や、工場などの熟練者が高度なスキルを生み出す脳状態のデジタル化による技術伝承につながると期待される。 今回の研究では、身体運動よりメンタルゲームの側面が強いeスポーツの格闘ゲームに着目。試合中の熟練選手の頭皮に電極を装着し、脳から発生する微弱な電気信号を検出して脳波を計測した。 eスポーツの格闘ゲームは2ラウンド先取制で、キャラクターの相性を考慮し自身が取るべき行動パターンを計画する「戦略判断」と、大事な局面で精神的動揺を意識的に抑制する「感情制御」が重要とされる。事前のアンケートでは、第1ラウンドの直前期間では戦略判断の重要性が高く、第3ラウンドの直前期間では感情制御の重要性が高かったことを踏まえ、第1、第3ラウンドの直前期間の戦略判断と感情制御に関わる脳波パターンと勝敗の関連を調べた。 その結果、戦略判断に関わる左前頭脳領域のガンマ波が試合の序盤(第1ラウンドの直前)に増大している時、と、感情制御に関わる左前頭脳領域のアルファ波が試合の終盤(第3ラウンドの直前)に増大している時に試合に勝ち易いことが判明。対戦直前のプレイヤーの脳波データに勝敗と強く関連するパターンがあることを特定した。 同研究所人間情報研究部の南宇人研究主任は「脳波データから試合結果を約80%の精度で予測することができる」と説明。その上で「これまでの予測技術では難しかった実力が拮抗した試合結果や番狂わせといった試合展開も予測できる可能性が示された。勝負事に臨む際の理想的な脳状態の存在を示しており、人がプレッシャーに対処するための重要なヒントとなる」と期待する。(電波新聞/電波新聞デジタルで後日詳報します)
電波新聞社報道本部