スランプ、ひざの手術も乗り越えた バスケ・寺嶋良が語る「自分を強くしてくれる」本
ひざの手術で入院中に差し入れしてもらった『道は開ける』も心に残っている本です。「運命がレモンをくれたら、それでレモネードを作りなさい」という言葉が出てくるのですが、普通に食べたらただ酸っぱいだけのレモンも、努力によってレモネードというおいしい飲み物に変えられるという教え。これは治療の過程においても同じことが言えると思ったんです。ただのけがで終わらせるのではなく、けがしたことを成長につなげることができるのではないか。与えられたネガティブな状況を別方向に捉え直して努力する考え方を学びました。 最近は違う世界を生きる人の人生をのぞいてみたくてエッセイを読むことが多いです。中でも、若林正恭さんのエッセイは大好きで、特に『社会人大学人見知り学部卒業見込』の中に出てくる「ネガティブを潰すのはポジティブではなく没頭だ」という言葉は、落ち込んだときに思い出すようにしています。 僕は人生のいろんな場面で読書に救われ、壁を乗り越えてきました。本屋に行くのはRPGゲームで武器屋に入るのと同じ。今のままでは勝てない強大な敵が現れたら、本屋に行って装備をそろえるという感覚です。自分の力になった装備は、またどこかで使えるかもしれないと思って捨てられないですよね。そんな本を紹介したいし、これからも出合いたいと思っています。 (構成/編集部・秦正理) 本は人生の武器に 偶然を必然にする踏み出すヒント 『大富豪からの手紙』本田健/ダイヤモンド社 「神は細部に宿る」不調脱する金言に 『夏美のホタル』森沢明夫/KADOKAWA/角川文庫 『運転者』喜多川泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン 『社会人大学人見知り学部卒業見込』若林正恭/KADOKAWA 『道は開ける』D・カーネギー/創元社 ※※AERA 2024年11月11日号
秦正理