「関税・貿易・科技戦争に勝者なし」 習氏、米に呼び掛け IMFなど国際機関首脳と会談
【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は10日、国際通貨基金(IMF)など国際機関の首脳らと北京の人民大会堂で会談した。中国国営新華社通信によると、習氏は米中関係について「関税戦争、貿易戦争、科学技術戦争は歴史の潮流や経済法則に反しており、勝者はいない」と述べた。 名指しは避けたものの、中国からの輸入品に追加関税を課す方針を示すトランプ次期米大統領を牽制した形だ。トランプ氏が「米国第一主義」を掲げている中、習氏は「中国は一貫して多国間主義の断固たる擁護者だ」とアピールした。 中国の李強首相は9日、IMFのゲオルギエワ専務理事や世界銀行のバンガ総裁、世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群(きん・りつぐん)総裁など計10の国際機関の首脳が参加する対話会を北京で開いた。習氏は、対話会に参加した首脳と会談した。 習氏は、米中関係に関して「中国は自らの主権や安全、発展の利益を断固として守る」とも訴えた。 中国の国家市場監督管理総局は9日、米半導体大手エヌビディアを独占禁止法違反の疑いで調査を始めたと発表した。米国は先端半導体関連の対中輸出規制を強化しており、対抗措置の一環という見方が出ている。調査の詳細は不明だが、エヌビディアが2020年に完了したイスラエルの同業メラノックステクノロジーズの買収案件も対象になったもようだ。