一瞬、場が凍り付いた…パーティーで、空気を読まない「30代の新人記者」にとどめを刺した先輩の「痛烈な一言」
渋谷109のカリスマ店員から週刊誌記者に転身。約10年間、3000人以上を取材してきた「聞き方」の極意をまとめた山田千穂さんの『ずるい聞き方』(朝日新聞出版)よりコミュニケーションがワンランクアップする聞き方を一部抜粋・編集してお伝えします。 【漫画】ウソだろ、足の指が50本に増えてる…火葬場職員が仰天した、前代未聞の遺骨
決定権は必ず相手に渡す
人は、自分で物事を決める自己決定権の度合いが高いほど、幸福度も高くなることがさまざまな研究でわかっています。 コミュニケーションも例外ではなく、小さなことであっても、何か決めごとが生じた場合は、相手に決定権を渡すと、メリットを感じてもらいやすくなります。 109の頃も、「この商品を絶対に売るぞ!」と自分がどんなに意気込んでいても、選ぶのも買うのも決めるのはお客さま、というスタンスは守っていました。 洋服選びに迷うお客さまはとても多いので、 「お手持ちのお洋服とは、どちらが合わせやすいですか?」 「ズボンに合わせたいですか? スカートに合わせたいですか?」 と聞いて、相手に選択権を与えます。そのうえで、 「こちらの服はどちらにも合わせやすいですよ」 と、自分が売りたい服にうまく誘導していくのです。 最後はもちろん、「どちらにされますか?」と聞いてお客さまに決めていただきます。 すると「自分で選んだ服」という納得感と、買ったことを後悔しづらいという2つのメリットが得られるのです。
パーティーやイベントで会話泥棒をしない
大人数で集まって話すパーティーやイベントが苦手な人、多いですよね。なんとなくグループができて、なんとなく会話がはじまるので、どのタイミングでどんな話をすればいいのか、私も最初はわかりませんでした。 わからなければわからないなりに、おとなしくしていればよかったのですが、今も思い出すだけで恥ずかしい失敗をしたことがあります。 大人数が集うパーティーで、あるグループが人気アイドルの衣裳の話をしていたのです。そこへ入っていった私は、別の推しアイドルが「超かっこよかった」という話をぶち込んでしまい、一瞬、場が凍り付きました。 「ヤバい! やらかしてしまった」と気づいたときは時すでに遅し。そのアイドルの衣裳の話で繋げばまだよかったのですが、まったく違う話をしたため話の方向が変わり、せっかく盛り上がっていた場が白けた雰囲気になってしまいました。 新人記者時代にも、109時代の癖で「私はこうで~」と上司の会話を奪うことがありました。 発言したあとの雰囲気で、「やばい! 109時代の自分語りをしてしまってるわ……」と気づき、あらためるべく心がけるようになったのですが、そんな矢先、別の上司に「山田さんはいつになっても自分が主役でいたいのよね?」と言われ、ありがたいとどめを刺されました。 気をつけていても、それまでのクセはそんなにすぐに変えられないものなんですね。 「自分語り」「会話泥棒」から脱却できたのは、この言葉のおかげかもしれません。ガツンときました。 この痛い失敗を機に、「これは本当に注意しないといけない! もう集まりに呼んでもらえなくなる!」と焦った私は、パーティーに行くたびに「会話泥棒にならないように気をつけよう!」と自分に言い聞かせて意識するようになりました。 大人数の会話は流れるプールのようなものです。最初は2人、3人と会話がはじまって、だんだんみんなの会話が同じ方向に流れていきます。 だから、その流れに入るときは、会話の話題はどのくらいの深さで、どっちの方向に流れているのかまず確認する必要があるのです。会話の深さと方向に合わせて、飛び込んでいくようなイメージで入っていかないといけないんですね。 そこを間違えると失敗します。逆に言うと、話題と方向性さえ間違えなければ、どんな大人数の場でも会話が怖くなくなるのです。 …つづく<手の内をすべて明かそう…30代の週刊誌記者が、初対面から「ネタを引き出す」ずるいテクニック>では、話を引き出すため取材テクニックや、うっかり名前を忘れてしまった人から自然と聞き出す方法などをお伝えします。 構成/樺山美夏
山田 千穂(記者)