23日は早慶戦 父は「うなぎステップ」の元代表、慶應の期待のルーキー・小野澤は「早稲田の1年生ライバルに負けたくない」
目標とする父は、「うなぎステップ」の宏時氏
小野澤の父・宏時氏は、「うなぎステップ」を武器にサントリーや日本代表で活躍した名WTBで、日本代表キャップ81を誇る名ランナーだった。母方も、祖父が大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)の竹内広明投手というスポーツ一家で生まれた。謙真という名前は父がファンである元・中日ドラゴンズの川上憲伸投手にちなんだという。 父親のプレーは「何度も秩父宮ラグビー場で見たことがある」という小野澤だが、幼稚園から熱中したのはサッカーだった。プロを目指して、小学校時代は横浜F・マリノスのスクールで、中学で父の母校・静岡聖光学院に進学すると清水エスパルスSSジュニアユースでプレーした。 しかし、中学3年の終わりにラグビー転向を決意する。2019年に日本でラグビーワールドカップが開催されたこと、そしてコロナ禍で父とラグビーをする機会があったことが大きかった。 「コロナ禍の自粛期間で、父とラグビーするようになって、父を意識するようになりました。また15人全員で戦う団体競技の楽しさがラグビーにあって、ラグビーで世界を目指してみたいと思うようになった」 「目標は父」と話す小野澤は、高校からラグビーに専念すると早々に頭角を現し、高校1年、3年と2度、「花園」こと全国高校ラグビー大会に出場し、高校2年時にはオーストラリア留学も経験した。高校日本代表候補のセレクションマッチでは2トライを挙げ高校日本代表に選ばれ、イタリア遠征にも参加した。
大学デビュー戦でハット、エディーHCから合宿招集
大学はAO入試で慶應義塾大学の環境情報学部に合格した。小学校まで横浜に住んでいて地縁があったこと、高校時代に慶應義塾大の練習に参加して雰囲気の良さに引かれたこと、昨年の4年生だったWTB/FB矢部耀司さんが、AO入試のサポートをしてくれたことが大きかったという。 「(環境情報学部は)自分で授業を全部選べるので、部の練習時間と相談しながら授業を組むことができて、勉強とラグビーの両立ができています。英語だけの授業もあって、もし海外でプレーすることになれば良い経験になるかな。学校もラグビー部の雰囲気も僕に取ってプラスしかなく、これから伸びしろしかないです」 5月、大学デビューとなった春季大会・東洋大学戦でいきなりハットトリックを達成。その活躍を見ていた日本代表のエディー・ジョーンズHCは、すぐに日本代表候補選手たちが集まった菅平合宿に招集。また6月、将来性を買われて、他の大学生有望選手とともに「ジャパン・タレント・スコッド」プログラムに参加。ワールドカップに出場した日本代表やプロ選手との練習や、ジョーンズHCを始めとした日本代表のコーチ陣からの指導は、19歳の小野澤にとって大きな財産となった。 小野澤は「半年前まで高校ラグビーをしていたが、(ジョーンズHCから)速いラグビーをするために、大学1年生として必要なことを学べた。ランでは自分の強みを発揮できた場面もあったが、プロ選手とプレーすることでパス、フィットネス、フィジカルなど課題が見つかり、自分のレベルアップが加速されて何をやるべきかが明確となった」と笑顔を見せた。