植物にとって肥料は重要だけど「主食」ではない。肥料の思い込みをアップデート!
肥料は園芸にとって大切なアイテムです。株を丈夫に育てたい、花をもっと咲かせたいと頼りにしながらも、ただなんとなくしていることがあるのでは? 『趣味の園芸』2025年1月号の「鉢植え 肥料の2大思い込みをアップデート」では、植物研究家の富田裕明さんに、肥料の基本や疑問について、わかりやすく教えていただきました。「肥料は様子が気になるときにいつあげてもよいのでは?」「あげればあげるほど元気になるんですよね!」そんな思い込みをアップデートしましょう。一部を抜粋してお届けします。
肥料はダメージのない植物に施す
肥料は植物にとって重要ですが、主食ではありません。植物が健やかに育つために絶対必要なものは水、空気、光、温度です。 これら4条件が整って元気な植物に育ち、プラスアルファくらいのイメージで施すのが肥料だと考えると失敗がありません。元気がない、花が咲かない場合には、まず4条件が整っているかを確認してください。 肥料が不足して植物が枯れることはまずありません。そのうえで適切な肥料の量やタイミングを考えましょう。
肥料を施す"基本"はこの2パターン
肥料を施す基本となる2パターンを再確認。肥料は不足するより多すぎるほうがリスクが大きいことを知っておきましょう。
元肥(もとごえ) 苗を鉢や庭に植えたり、植え替えるときに施します。最近は初期生育分の肥料が入った培養土が多いものの、元肥として施す緩効性肥料が効くころには成分が抜けているので、私は規定量を施します。
追肥(ついひ) 元肥の肥効期間が切れるころ、植物の生育期に施すのが基本です。ただし、生育の準備段階や休眠から目覚める直前、開花期や収穫期の直後などにも、次のステップに向けて施します。
肥料過多で根腐れすることも
肥料焼けという言葉を聞いたことがあるでしょう。植物の根は薄い肥料分は吸収できますが、濃い肥料分は苦手なので根腐れを起こします。これが肥料焼けです。 肥料を施しても元気にならなかった植物に、さらに肥料を足すのはやめましょう。肥料不足が原因なら、少量の肥料を施すだけで効果はあらわれます。 肥料は気づいたときにいつでも施してよいわけではありません。誌面では、追肥の必要な時期や、避けるべき時期について詳しく紹介しています。生育状況に応じて効果的なタイミングを覚えておきましょう。 教えてくれた人/富田裕明(とみた・ひろあき) 植物研究家 園芸試験場や植物園で育種や栽培に携わってきた。国内外の自生地を巡り、自宅ではビオラから希少なケープバルブまで1000株以上を栽培。バラ、食虫植物、オージープランツなど、豊富な栽培経験と知識をもつ。 ●『趣味の園芸』2025年1月号「それカンチガイ? 鉢植え 肥料の2大思い込みをアップデート」より