「個人的には海外でプレーしたいという憧れ」「英語は社会に出るための武器になる」アメリカ留学を目指す理由
海外へのスポーツ留学などをサポートする株式会社WithYou主催の「男子アメリカ大学サッカー留学JAPANトライアウトin 関東」が1月に開催された。 今回、参加した91選手のリストを見るとJクラブの下部組織に所属する選手や誰もが知る全国の強豪校の選手、また地域のチームに所属する選手とさまざまだった。 そのなか今回、参加した選手の多くが現在、高校2年生。それは何故か。 「進路を決める上で、今がちょうどよいタイミングです」と主催する株式会社WithYouで代表取締役を務める中村亮さん。 周知の通り、日本の学校は4月に始業し、翌3月に終業するがアメリカは9月から始業する。(※カレッジスポーツは8月から始動)つまり、卒業目前の高3生に比べ、高2生はトップ昇格や進学だけでなく、アメリカ留学を選択肢に入れることで、その幅を広げられる。とともに、決めるまでの考える時間は十分にある。 何故、今回アメリカ留学にむけたトライアウトを受けたのか。 「トップ昇格が一番の目標ですが、昇格できなかった時のことを考え、日本の大学だけでなく、海外の大学にも興味があります。声がかかったら、アメリカで挑戦したいなと思い、参加しました」と大分トリニータU-18MF小野誠竜(高2)。普段は左ウィングの小野はゲームでは得意なドリブルを生かしたプレーを見せた。アメリカ留学を視野に入れた理由を「プロになれなかったときに、英語圏の国に行けば、将来、社会に出た際、役立つ言語は英語だと考えたので」と語った。 またこんな声も。「高校1年の時にアメリカで有数の大学に進学できることを知りました」と國學院久我山FW前島魁人(高2)。 「アメリカに惹かれるものがありますし、4年間で英語を習得ができます。また英語は社会に出るための武器になるので、アメリカが良いと考えました。留学ができるのならば、選択肢のひとつとして、利用してみたい、やってみたいなと感じました」と将来を見据えるとともに「もちろん一番はサッカーで成功することですが、サッカーだけになって、セカンドキャリアが全然、ダメなのは良くないので、どちらも充実させたい」と文武両道を目指している。 そして、腕試しの面も。 沖縄から参加したMF新城裕大(大学2年)。ゲームではボランチでプレーしていたが、普段はセンターバックとGK以外はどこでもできるユーティリティプレイヤー。今回、参加したのは自身がコーチを務めるサッカークラブで「受けてみてはどうか」と勧められてのもの。また現在、通っている大学のサッカー部が強豪校ではないため、不完全燃焼とあって「アメリカに行けたら行きたい」と活路を見出すべく、参加した。「もし受かってアメリカに行けたら、行って考えたい。もし落ちたら、沖縄か本土で就職したい」とも語っていた。 そして本格的にアメリカ留学を考えている選手も。 「日本の大学に行く選択肢はありますが、個人的には海外でプレーしたいという憧れがありました。そのなか、WithYouさんの取り組みを魅力的に感じたので、参加しました」とアビスパ福岡U‐18 DF時志仁(高3)。時志は高1のとき、U‐16日本代表候補に選ばれ、昨年7月には2種登録された。 「大学では勉強に目を向けて、両立していきたいと考えるなか、アメリカの大学があることを知りました。アメリカで自分が成長して、チャンスがあれば、その道にも行けるなと考えました。(目標は)子供たちに夢を与えられるようなプロサッカー選手になりたいです。アメリカでひとまわり、ふたまわり成長して、プロの道に行きたいです」とアメリカ留学の理由を語った。さらにもうひとつ踏み込み、こんな将来を語った。「あわよくば恩返しを含め、アビスパに戻れればと思います。いまはアメリカの大学からJリーグへの加入は主流ではないので、逆輸入のかたちで、アビスパに戻って戦力になれればと思います」とクラブ愛の強さを感じる。 奇しくも昨年、日本代表で主将を務めた吉田麻也がアメリカMLS・LAギャラクシーに加入。また今月6日には川崎フロンターレDF山根視来が同じくLAギャラクシーへの完全移籍が発表されたばかり。 代表経験のある日本人選手がアメリカに戦いの舞台を移すなか、さきほど時志が話したように今後はアメリカから日本のJリーグへという流れが出てくるのは、そう遠くない未来に起こるかもしれない。 なお第15回男子トライアウトは3月11日に関東で翌12日に関西で行われる予定としている。 (文・写真=佐藤亮太)