エアコンを切ると数時間後には暑い…原因は家の性能にあるかも!?環境学教授が教える断熱住宅のメリット6
部屋を過ごしやすい室温に整えるには、エアコンなどの設備を使うことがいちばんに頭に思い浮かびますが、ここで紹介したいのは「断熱」という選択肢。 【写真集】酷暑に効果あり!新築でもマンションリノベでも、絶対知っておきたい断熱の大切さ 聞いたことはあるけれど、まだまだよく知らない。そんな断熱のメリットを、研究者である宿谷昌則さんに伺いました。
メリット1/エアコンだけに頼らずに過ごせる
夏の暑い日にエアコンをつけて部屋の温度を下げても、冷房を切るとまた数時間後には暑くなってしまう…。 それは、太陽の光で温められた壁や天井から発せられる放射熱が原因。断熱材でこの熱の侵入を断てば、室内は温度の変動が小さくなるのです。 つまり、夏は室内空間に熱が侵入しにくくなり、冬は床暖房パネルなどにより温められた床、そして床面からの放射熱によって間接的に温められた天井・壁材から、熱が逃げていきにくくなります。
メリット2/“涼しい夏”と“暖かい冬”が実現する
屋外の激しい温度変動に影響されにくく、夏のエアコンによる冷却や冬の床暖房による加熱を穏やかにすることが可能になり、室温をほどよい範囲に収めやすいことも、断熱の大きな特徴です。 「もう1つ注目してほしいことは気密ですね」と宿谷さん。人が生活するうえで必ず生まれる二酸化炭素などの汚れた空気を捨て、新鮮な空気に入れ替える。 しかし、あまりにも高気密な住まいにしてしまうと空気の逃げ場がなく、常に換気扇を稼働しなければならないので注意が必要とのこと。 土地の環境に合わせて適切な気密と断熱を行うことが、四季を通じて過ごしやすい室内をつくりあげるポイントです。
メリット3/限られた敷地を最大限に使いきる
宿谷さんも自邸マンションの断熱リノベーションを行いました。 その宿谷邸のメインスペースは、L字の開口部から光が差し、明るく開放的。 LDKに加えて北側の書斎までがひと続きになった一室空間になっています。 もし断熱をしていなければ、夏場は長時間冷房をつけなければならず、冬は窓から冷気が入るので窓際で過ごすことは困難。 断熱対策をしっかりと行ったからこそ、オープンなプランも実現できるのです。 「断熱していない住宅では、暑さ・寒さから使わない個室が生まれがちです。自分たちの敷地、空間を100%使いきる。決して省エネ面だけが断熱の魅力だと思わないでほしいです」