やっぱりポルシェのSUVは味わい深い!!! 新型マカンTがある意味、罪なクルマだったワケとは?
ドライバーにとって、最高の体験
とにかく、印象は素晴らしい。多少、SUVであることを割り引く必要はあるにせよ、スポーツカー的にダイレクトと表現すればいいような、ドライビング感覚は、ほかではめったに味わえない。 911に通じるような、路面のインフォメーションがきれいにハンドルを握っている手のひらに伝わってくる感覚をはじめ、操舵に対する車体の反応、加速、減速、それに制動と、どれをとっても、クルマとドライバーとの一体感はすばらしい。 アクセルペダルは(燃費を考えてだろうか)踏みはじめのところは、加速の立ち上がりがゆるやか。これもおもしろい。そこからさらに踏みこんでいくと、4気筒エンジンが目をさますという感じで、ドンっとパワーが出る。 エンジンはなめらかに上の回転までまわり、回転計の針が12時のところが4000回転。そのへんがトルクバンドに乗っている感覚で、アクセルペダルの微妙な動きに、クルマがすぐ反応してくれるのだ。 911のすばらしい点は、絶対スピードでなく、いかなる速度域でも操作性が高く、たとえ30km/hで走っても、じつに気持ちよい操作感が得られるところある(と、私は思っている)。 マカンTもまさにそれ。あえて2.0リッター4気筒エンジンを選び、かつフロントスタビライザーの径を太くしたというだけあって、ノーズがすいすいっと向きを変えていくさまは、ドライバーにとって、最高の体験だ。 私が乗ったクルマにはオプションで「アダプティブエアサスペンション」がそなわっていた。さきに触れたPASMダンパーと組み合わされていて、車高調整機能もそなえる。おかげで高速は終始フラットな乗り味が得られる。 そういえば、ほかにもオプションで「ポルシェトルクベクタリングプラス」「パワーステアリングプラス」も装備されていた。自分で買うなら、ほかの「スポーツエグゾーストシステム」とか「ドライバーメモリーパッケージ」とかは要らないけど、上記のふたつは欲しい……なんて想像をめぐらせるのが私は好きだ。 なにはともあれ、ダマされたと思って乗ってごらん、と、勧めたくなるクルマだ。「エンジンはいい!」と、改めて思わせるところも、ある意味、罪なクルマである。
文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)