三木孝浩 監督が語る 切なさと、勇気と、生きるということを描いた『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』
絵を描くことが大好きで、二科展の入選を目指す高校生、早坂秋人。しかし、突然心臓に腫瘍が見つかり、余命わずか1年と宣告されてしまう。全てを諦め感情を押し殺して日々をやり過ごしていた秋人は、ある日、病院の屋上で一人絵を描く少女、桜井春奈に出会う。余命半年だというその少女に惹かれ、彼女を笑顔にしようと奮闘するうちに、秋人は再び人生に希望を見いだしていく。しかし、二人の命の期限は、すぐそこまで迫っていたーー。 2021年に発表され、SNSを中心に「号泣必至!」と瞬く間に話題となった森田碧の大ベストセラー小説「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話」。このほど、主人公の秋人に永瀬廉、春奈に出口夏希、監督には数々の名作恋愛映画を世に送り出してきた三木孝浩を迎えて、Netflixで完全映画化、世界配信される。 予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、Netflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』の三木孝浩監督に、本作品の見どころ、撮影時のエピソード、映画への思いなどを伺いました。 ・・・ 「余命」が描くポジティブな眩しさ 池ノ辺 今回の作品、拝見しました。号泣しちゃいましたよ。監督はこのお話を最初に聞いた時は、どのように受け止めたんですか。 三木 プロデューサーの春名慶さんの企画だったんですが、原作のタイトルを見たら「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話」。ちょっと暗い話なのかな、重さを背負って撮らなきゃいけないのかなと思ったんです。ところが読んでみると、出てくるキャラクターたちのお互いを思いやる姿が眩しくて、この純粋さを、観る人が逆に羨ましいと思えるくらいの映画にしたいと思いました。 池ノ辺 「余命」とあるとどうしても暗い感じがしますよね。でもいまタイトルに「余命」って入っている作品て、いっぱいあるんですね。特に、若い子たちには人気らしくて、この原作も大ヒットしてるそうです。 三木 この作品では本当に、二人の姿がすごく眩しいんで、これはものすごくポジティブに撮れると思ったんです。 池ノ辺 その二人を永瀬廉くんと出口夏希さんが演じていますね。 三木 二人の組み合わせが、僕が原作に感じた初々しさを本当によく表現してくれました。永瀬くん演じる秋人は、余命宣告を受けて最初はちょっと人生を諦めていて、でも春奈と出会ったところから「春奈のために生きる」という人生に対するモチベーションを取り戻していく。そこを永瀬くんがすごくうまく演じてくれました。出口さん演じる春奈は、天真爛漫で、その明るさが「こんな明るい子が、あと半年しか生きられないなんて」と観ている人にとってはもどかしく切ない。そこをうまく演じてくれています。 池ノ辺 そう、余計に切なくなるんです。いつも思うんですけど、アイドルの方たちって表現がうまいですよね。 三木 そうなんです。永瀬くんの、最初、塞ぎ込んでいたところから感情がどんどん開いていく、そのグラデーションが素晴らしかったんです。ぜひそこは観てほしいところです。