環境省との協議後に記者会見する「ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議」の弁護士たち=東京都千代田区

　新潟や熊本などに住む水俣病の被害者が、国や原因企業に損害賠償を求めている「ノーモア・ミナマタ2次訴訟」の弁護団の代表者らが8日、環境省と1回目の実務者協議に臨んだ。国に対する要望は書面にして既に提出しており、この日は問題解決に向けた具体的な交渉などには踏み込まず、今後も引き続き協議をしていくこととしたという。 　同訴訟は全国の4地裁で起こされた。今年4月までに判決を出した大阪、熊本、新潟の3地裁は計約180人の原告を水俣病と認定した。 　この後の5月、熊本県水俣市で環境省職員による「マイクオフ問題」が発生。これを受けて伊藤信太郎環境相（当時）が、被害者と環境省による協議の実施を表明し、実現した。 　弁護団側は、地裁判決が出ていない東京訴訟の弁護団長も加わった「ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議」として協議に参加。話し合いの様子は非公開だったが、終了後に記者会見した熊本訴訟弁護団長の園田昭人（しょうと）弁護士は「すべての被害者の救済に向けた論点が整理できた」と話した。新潟訴訟弁護団事務局長の味岡申宰（しんさい）弁護士は被害者が高齢になっていることを挙げ、「一刻の猶予もない。そのことを環境省に伝えた」と語った。 　全国連絡会議は5月、謝罪や賠償金などの支払いを求める「解決基本要求」をまとめた書面を国に出している。今後は、この内容に沿って環境省と協議を進めていく方針だという。（鈴木剛志）