大同大大同が初の決勝へ! “夏までの緩さ”から成長した粘り強さで今大会無失点…前回王者・名古屋とのPK接戦を制す:愛知
[11.3 選手権愛知県予選準決勝 大同大大同高 0-0(PK6-5) 名古屋高 ウェーブスタジアム刈谷] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権愛知県予選準決勝が3日に行われ、初の4強入りを果たした大同大大同高と連覇を狙う名古屋高が対戦。両者譲らず、PK戦までもつれた一戦は0-0(PK5-4)で大同大大同が勝利した。 大同の選手が掲げる今年のスローガンは「力戦奮闘」という言葉。粘り強いチームになる、最後まで諦めないといった意味のほか、苦しい中でも、いかに楽しんでプレーできるかという意味も込められている。PK戦までもつれた3回戦の名東高同様、この日も苦戦を強いられたが、初の準決勝という舞台を楽しめた結果がファイナル進出に繋がった。 晴れ舞台を見届けようと訪れた観客は3,000人。城山太志監督が「準決勝でも雰囲気が準々決勝とは違うなと思っていた」と振り返ったようにこれまで経験したことがないシチュエーションでの試合となったが、序盤から主導権を握って試合を進めていく。 「前半は名古屋さんのラインが低かったので、自分たちが押し込んだ中で、しっかり自分たちのサッカーを出していこうと思っていた」。そう明かすのは城山監督で前半半ばから攻撃のリズムが生まれ始めると前半23分にはFW福田琉斗(3年)からのパスを受けたFW加藤真基(3年)が対面した選手を振り切ってシュートを放つ。GKの隅を突いてゴールに転がったが、懸命に戻ったDFにクリア。押し込んだシュートはGKの正面に終わった。35分には右CKのこぼれ球をMF吉田高駕(3年)がダイレクトで打ち返したが、GK定本翼(2年)のファインセーブに阻まれ、得点には至らない。 後半に入ってからは名古屋が、ギアチェンジ。守備ラインを高く設定し、前線から圧力をかけることで大同を押し込み、MF山本悠真(3年)のロングスローとCKから先制点を狙う。後半10分には右ロングスローのこぼれ球をDF太田陸斗(3年)が狙ったが、DFに当たってCKに。15分には中央で奪ったMF大坪煌英(3年)のパスから、MF生田智丈(3年)がゴールを狙ったが、スコアは動かない。 後半開始とともに投入されたMF山下翔大(2年)のパワフルなドリブルも大同にとっては脅威だったが、「左の7番(山下)はスピードがあってドリブルが上手い選手なので、しっかりスライドするように声をかけていた。それに相手のロングボールが増えたのでチャレンジ&カバーを意識させた」(GK津田勇斗、3年)ことが奏功。「笑顔で守ろう」という選手同士の声掛けも大きく、ピンチを乗り切って0-0のまま前後半を終えた。 延長戦でも決着がつかず、PK戦を迎えたが、大同の選手は落ち着いていた。「チームとしてもPKの練習はいっぱいやっているので、みんな自信を持って蹴れていた」と口にするのは津田で、1人目から4連続でキックが成功。5人目こそ相手の好セーブに阻まれたが、以降の2人がきっちり決めて勝利を引き寄せた。 大同は2年ぶりに挑んだ1部リーグの前期に勝てない試合が続いていた。インターハイも名東高に1-2で敗れ、3回戦敗退。主将の加藤は「チーム全体として緩かった」と振り返る。だが、試合を重ねるうちにチームは成長を続け、今大会は初戦から無失点を継続。「失点しなければ負けることはない。そこはみんなが信念として持っている」(津田)。 「主体性が出てきた。ハーフタイムも選手同士で会話する」と話すのは城山監督で、この日はベンチからの指示が届きにくい中でも選手自らが発信を続けたことが粘り強い勝利に繋がった。初の決勝でもやるべきことは変わらない。津田は「決勝でも自分たちのやることは変えずに見ている人が面白いサッカーがしたい。自分たちが守り切って、無失点で初優勝できるように頑張りたい」と意気込んだ。 (取材・文 森田将義)