関空でも神戸でもない…“ナゾの関西第3の空港の駅”「伊丹」には何がある?
いつも、大阪の玄関口は新大阪駅である、と繰り返してきた。何しろ、新大阪駅には1時間に12本という、大都市の通勤電車もびっくりの高密度運転で東京から新幹線「のぞみ」がやってくる。大阪を訪れる大部分の人が新大阪駅でまず大阪の地を踏むのだから、玄関口といって間違いはない。 【写真】関空でも神戸でもない…“ナゾの関西第3の空港の駅”「伊丹」を写真で一気に見る だが、それも一面的な見方に過ぎない。そう、大阪には、というか関西には他にも玄関口がある。空の玄関口・大阪国際空港、またの名を伊丹空港である。 手元の時刻表を繰ると、東京・羽田空港と伊丹空港の間にはJALとANAを合わせて1日30往復もの飛行機が飛んでいる。新幹線ほどではないが、立派な大動脈ぶりだ。 だから、「伊丹」という町の名も、新大阪駅に負けず劣らず全国に轟く。同じく関西の空の玄関口であり、海外から来日する人が主に使う関西国際空港と区別するため、空港での案内表示や予約時の選択肢には「大阪(伊丹)」などと書かれていたりもする。 そもそも1994年に関空が開港するまでは、伊丹が国際便も受け入れていた。伊丹は、日本全国どころか世界中に名の知れた大阪、関西の玄関口なのである。 そんな玄関口の伊丹なのだからきっと国際色豊かな町……といっても、伊丹に国際線が飛んでいたのはもう30年以上も前のこと。いまの伊丹とは、いったいどんな町なのだろうか。
“ナゾの関西第3の空港の駅”「伊丹」には何がある?
そういうわけで、伊丹にやってきたのだが、少しその前に解説をしておかねばならない。伊丹というのは、兵庫県伊丹市のことだ。もちろん大阪国際空港も、滑走路を含めて大部分が伊丹市内にある。 ただ、さすがの大空港というべきか、空港の敷地は大阪市豊中市や池田市にも跨がっている。つまり、伊丹市において、空港は町外れ。本来の伊丹の中心は、空港のターミナルビルとは滑走路と猪名川を挟んでだいぶ西側に広がっている。 伊丹の中心部にアクセスする鉄道路線はふたつある。ひとつは、阪急電車だ。阪急神戸線の塚口駅から北に分かれる伊丹線という支線に乗り継いだ終点がその名も伊丹駅だ。もうひとつはJR宝塚線(福知山線)の伊丹駅。阪急伊丹駅の東側、いくぶん猪名川に近い(といってもだいぶ遠い)ところにある。 関西には、JRと私鉄の駅が同じ名乗りでありながらも乗り換えには適さないくらいに離れていることが少なくない。 尼崎駅(JRと阪神)もそうだし、伊丹駅もそうした例のひとつだ。それでいて、大阪駅と大阪梅田駅のように、名前は違うのに同じ場所、なんてことがあるからヨソ者にはややこしいのだが、それは別のお話。