サウナーの聖地、フィンランド式サウナの魅力と正しい入り方、さすが幸福度連続1位の国
地元民のようにサウナを楽しむには
フィンランド式サウナを存分に楽しむためには、まず地元の習慣に慣れることだ。 自宅にサウナを設置する人が増え、社交場としてのサウナは下火になっていたが、今また人気が回復してきている。ヘルシンキにあるバー「ロウリュ」やヘルシンキに隣接するエスポーにある「ボドム」では店内にサウナを設置。常連客が地元産の「サハティ」ビールを飲みながら一汗かけるようにした。サウナは再び愛する人と大切な時間を過ごす場であり、内密の話をする場であり、出会いの場となり、またビジネスの場でもある。 サウナには一般的に全裸で入る。元々はサウナを清潔に保つ習慣だったが、フィンランド人は今も全裸を好む。服を脱ぐことは日々の役割や義務から解放され、一緒にサウナに入る人と対等の関係になることを意味している。 とはいえ水着を着用しても奇異の目で見られることはない。サウナは皆をリラックスさせるためのものだ。守らなければならない規則はあまりない。 サウナはアロマの香りで満たされていないし、心地よい音楽も流れていない。フィンランドのサウナはシンプルさで知られている。静かでどこで入っても同じ匂いと音がする場所。それがフィンランド式サウナだ。 サウナに音楽が流れていないとしても、「ビヒタ(ヴィヒタ)」というシラカバの若い枝葉を束ねたものを使って体をマッサージする音は聞こえてくる。ビヒタで優しく体をたたいたり、こすったりすると血流がよくなり、肌が柔らかくしなやかになるという。 体が熱くなりすぎたら、フィンランド人は冷水に浸かったり、雪の中で転がったりしてくる。冬の気温は場所によってはマイナス45℃まで下がるフィンランドで正気の沙汰とは思えないかもしれないが、体温が急激に変化することで免疫機能が高まるという報告がある。 サウナは、スウェーデン、エストニア、トルコ、日本など他の文化圏でも浸透している。しかし古く、独特で、神聖なフィンランド式サウナは一度体験してみる価値があるだろう。
文=SAMANTHA LEWIS/訳=三好由美子