【加部究のフットボール見聞録】高まる多摩川クラシコの価値
首位攻防戦の明暗を分けたのは?
川崎はFC東京との多摩川クラシコに3-0と快勝。主将の小林⑪は1ゴール・1アシストと勝利の立役者になった。(C)SOCCER DIGEST
多摩川と聞くと、昔日の憂鬱な気分が蘇る。 スポーツ新聞に入社して3年目に巨人担当を命じられた。もともと国際競争のない野球には興味がなかったが、天邪鬼の僕は圧倒的な人気を誇る巨人を特に嫌った。当時、巨人は多摩川の河川敷グラウンドで練習をしていたので、ここで若手選手の特打ちまでを見届けてから球場へ出かけるのが日課となった。公式戦当日に、わざわざ99パーセント記事にならない練習に付き合うのは「特落ち」(重要なネタを一社だけ落とす)を防ぐための保険だった。巨人の動向は紙面の軸を成したので、時には些細な出来事が一面ネタとして浮上する。例えば、今なら別の意味で大きなニュースになるが、コーチの鉄拳制裁などが該当した。 多摩川グラウンドでは、若いのに腹が弛みかけた選手たちが、一服休憩を挟みながら長時間に及ぶメニューをダラダラとこなした。高校までは優秀なアスリートだったはずなのに、それを
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