通勤あるある?「大柄な人の隣は本当に暑いのか」温度ではなく"湿度"が影響?心療内科クリニックの院長が医学的に解説!
10月4日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』には、53歳の男性からこのような相談が寄せられました。「私は体重が100kg近くあり、妻から暑苦しいと言われます。でも、体温は36度台で特別高くはありませんが、本当に熱を発しているのでしょうか?」この疑問に、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が答えます。 【画像】 通勤あるある?「大柄な人の隣は本当に暑いのか」温度ではなく"湿度"が影響?心療内科クリニックの院長が医学的に解説!
妻から暑苦しいと言われますが…
この質問に対し、自身の体験を補足する北野誠。 北野「これは僕が実際に体験したことです。山形新幹線で隣に100kg超えの人がいて、だんだん暑くなってきました。実際、体温が高いわけではない気がしますが、どうなんですかね?」 吉田「確かに肥満の人は体温が上がりやすい傾向はあります。といっても、脂肪細胞自体はほとんど熱を出さない。熱を出しているのは筋肉細胞です。体重が重いと軽く歩いただけでも、重い荷物を背負っているのと同じですので、筋肉が激しく使われてより多くの熱を出すわけです。 ただ、しばらく座っている状態が続くとこういう効果は出ないので、普通に体温を測ると肥満の人が体温が高いわけではないです」
太っていると暑い?
太っている人は座っている時も暑そうに見えますが、なぜでしょうか? 吉田「実際体温が上がってなくても、肥満の人は暑苦しく感じる傾向があります。理由は全身を覆っている皮下脂肪が熱を遮断する効果を持っているためです。熱の伝わりやすさを熱伝導率といいますが、カンザス州立大学の論文によると、脂肪の熱伝導率は0.2W/m K、筋肉は0.5W/m Kですので、脂肪は筋肉の4割しか熱を伝えません。 つまり、脂肪細胞は熱を強力に遮断して体内に熱を閉じ込める作用を持っているわけです。ペンギン、アザラシなどは脂肪のおかげで凍死しません。人間も体脂肪率が高いと、ダウンジャケットを着こんでいるようなものなので、暑苦しく感じやすいのです」
熱中症に注意
吉田先生によれば、暑さを感じる程度が激しい場合、いくつか病気の心配があるとのこと。 吉田「まず、肥満だと熱中症になりやすいです。皮下脂肪が体内に熱をためこむ作用があることに加えて、浸透圧利尿という作用で脱水症状にもなりやすいので、ダブルでなりやすいです。 肥満で糖尿病になる人も多いです。糖尿病で汗をかいたり、血液の流れが悪くなって寝苦しくなる時もあります。 また心臓の病気もなりやすいです。心臓のポンプの力が低下して脳を十分に動かせなくなってとても暑苦しく感じることもありますので、思い当たる方は内科を受診していただきたいです」
汗をかくせい?
ここでひとつの疑問が。熱を遮断されるのに、どうして周囲の人も暑く感じるのでしょうか? 吉田「皮下脂肪が熱を遮断したままだと熱中症になってしまうので、汗をかくことで体温を冷やそうとしますが、そうすると周囲の湿度が上がります。気温が上がらなくても暑さ指数は上がります」 「だから僕は新幹線で暑くなったんですね」と納得する北野。 吉田「肥満体質の人が隣の席だと自分の皮膚との距離が近くなることもありますが、温度以上に湿度の影響が大きいです」 湿度の関係も大きいようですが、どうやら「太っている人が近くにいると暑く感じる」というのは医学的にも本当のようです。 (みず)