BYDの新型車「シール」に試乗- 中国産のEVセダンは侮れない!
シールのバッテリー容量はRWDもAWDも82.56kWh。モーター出力は230kW(AWDは390kW)、航続距離は640km(AWDは575km)なので、EVとしての性能は十分だ。気温15度、充電器の最大出力90kWという環境で急速充電する場合は、30分ほどで40kWh以上の充電が可能とのこと。バッテリー温度管理システムを最適化することで、安定した高い充電性能を実現したそうだ。 BYDのこれまでのモデルは、ボディフロアの下にバッテリーとそのトップカバーが取り付けられていた。シールでは、ボディフロアとバッテリーのトップカバーが一体化している。これにより、正面衝突に対する車体の変形量を50%、側面衝突に対する変形量を45%抑制し、安全性能を向上させることができたとBYDは説明する。
■値段に驚愕! 補助金でさらに安くなる? 肝心の価格だが、本稿の執筆時点でRWDが528万円、AWDが605万円となっている。ここに「CEV補助金」の35万円(予定)が加わり、自治体からの補助金も取得できれば、値段はもっと安くなる。 さらに驚きなのが、シールの「導入記念キャンペーン特別価格」だ。日本国内1,000台限定とはなるが、両グレードとも33万円の値引きを実施し、RWDを495万円、AWDを572万円で販売するという。加えて、6月25日~8月31日の間にエントリーすると、ETCやドライブレコーダー、メンテンスプログラム「eパスポート」、充電器工事費最大10万円のサポートなど盛りだくさんの「初期購入特典」が付いてくる。 シールのデザインはかなり洗練されているし、インテリアの質感も高い。走行性能も十分で満足できる。ここまで完成度が高いにも関わらず、他社の同セグメントのEVセダンと比べて安価に購入できる。補助金やキャンペーンを活用すればさらに安くなるとなれば、もはや選択しない理由はないかもしれない。これまでEVを敬遠していたという人も、一度は乗ってみてほしい。乗ればきっと、EVセダンの印象が大きく変わるはずだ。
■ 室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。
室井大和