ポスト・イットもバイアグラも…「失敗から学ぶ人」と「学ばない人」を分けるたった1つの違い
また、3Mという世界的な企業があります。社名は知らなくても「ポスト・イット」という商品名を知っている人は多いでしょう。この「貼って剥がせるメモ」は、世界中で活用されています。 この商品は失敗から生まれました。誤って、剥がれやすい接着剤を開発してしまったのです。この段階では、これは単なる失敗にすぎません。ところが3Mの開発担当者はここで考えたのです。「剥がれやすい接着剤の使い道」を。これが「ポスト・イット誕生秘話」です。 考えてみてください。「世の中にないもの」を考えることはとても困難です。でも、ヒントがあれば違います。接着剤といえば「くっつくもの」であり、接着力が命。誰も剥がれやすい接着剤なんて考えません。それができてしまった。 普通はそこで破棄処分。しかし、それを活用することを考える。これが「失敗を失敗に終わらせない思考」だと思います。価値ある失敗、Most Valuable Failureにつながっていくのです。 ちなみに3Mの企業文化は「果敢に挑戦し、進んで失敗し、そこから学び、商品開発に活かす」ものだといいます。だとすれば、ポスト・イットは偶然生まれたのではなく、必然の産物だったといえます。 ● 狭心症の治療薬から誕生した バイアグラが世界的ヒット ED改善薬として知られるバイアグラですが、もともとは狭心症の治療薬として開発されていました。しかし、治験を繰り返した結果、狭心症にはまったく効かないことがわかります。 しかし、被験者のコメントに「EDが改善した」というコメントがいくつもあったのです。 狭心症とは関係がないコメントなので、普通は無視するでしょう。それを無視しなかった。狭心症には効かなかったという失敗だけに目を向けるのではなく、他の部分にも目を向けた。 その結果、バイアグラはいまでは世界的なヒット医薬品です。 失敗の中に埋まっている価値を引き出す、新しい価値を創造する。いま、世界に溢れている商品は、そうしたから生まれたのです。 失敗から学ぶことで、成功につながるというケースには、方向転換のケースもあります。ペニシリンやポスト・イットのように失敗が次なる成功へのヒントになることもありますが、違う道を探る、方向転換することで成功に至るということも十分に有り得るのです。