「どう猛な犬は、殺傷能力のある凶器と一緒」闘犬に襲われ一変した生活 問われるモラルと飼育方法…安全に家族として迎え入れるには?
飼い主は重過失傷害罪に問われ、岐阜地裁で今年7月、判決が言い渡された。禁錮6月、執行猶予4年。裁判所が指摘した主な内容は以下のようなものだ。「事故防止対策をとるよう呼びかけるパンフレットを読まず、しつけもできていなかった」「危険は十分予見でき、過失は重大」―。飼い主は「申し訳なかったです」と小さい声で繰り返し、うつむき鼻をすすって裁判官の言葉を聞いた。 被害者らとは損害賠償を支払うことで合意したものの、支払いは難航しているという。 ▽逃走事案各地で 岐阜県獣医師会の柴田真治会長理事は、ピットブルについて「かむとイノシシの皮膚でも裂ける、鉄筋性の檻を壊せるほどの力を持つものも。飼育には適切なしつけが必要だ」と強調する。動物病院では受付時に、犬を治療する際にはちゃんと押さえつけられるかどうか確認し、人や他の動物と接触しないよう注意するという。 2023年や同年度末時点で登録されているピットブルは、札幌市42匹、茨城県191匹、佐賀市9匹など。
逃走した犬が人に危害を加えるケースは今年、各地で起きている。4月に栃木県栃木市の路上で、逃げ出したピットブルが散歩中の犬と女性を襲い、助けようとした男女3人も手や腕をかまれた。4~9月にかけては北海道鷹栖町や栃木市、群馬県邑楽町で住宅などから1、2匹が逃走。茨城県小美玉市では民家に1匹が迷い込み、保護しようとした住民の手をかんだ。市職員が捕まえようとしたが逃げ、その後飼い主の自宅近くで捕獲された。 ▽檻での飼育、リードは両手で…覚悟を持った飼育を 各地の自治体の中には、ピットブルの飼育について条例で定めを設けているところもある。これらの自治体ではピットブルを、人に危害を加える恐れがある「特定犬」に指定し、錠のついた檻で飼育することなどを求める。不適切な場合は罰金を科す。 岐阜県に同様の条例はないが、人通りの少ない道や時間帯を選んだ散歩や、両手でリードを持つことを呼びかけている。