バブルの証人が語る「昭和のディスコが私たちに教えてくれたこと」
LEON おふたりのお話を聞いていると、ディスコが昭和の若者にどれほど大きな影響力を与えていたのか、だんだん感覚的にわかってきたように思います。でも、今の人たちはあまりディスコやクラブに行かないですね。 甘糟 今の人たちはスマホがありますからね。私たちの時代の行きつけのディスコって、部活の部室みたいな感じだったんですよ。約束してなくても行けば誰かいる、なんとなく溜まれる、みたいな。今はSNSでゆるく繋がったり、出会ったりできちゃいますもんね。とはいえ、リアルな場所の熱気は格別だなんだけど。あと、ハメを外しすぎると、 SNSで拡散されちゃうのが怖いのかもしれませんね。 渡邉 昔も今も、溜まり場ってやっぱり必要でしょう。昭和のディスコが当時のぼくたちにとって何だったのか、と聞かれたら、ぼくは“すべて”と答えますね。
昭和のディスコは東京に暮らす若者たちの溜まり場であり、互いに切磋琢磨する刺激を与えてくれる場でもあり、また先達に出会える学校でもありました。言うなれば青春のエネルギーが一カ所に集中した場でもあったようですが、その熱量はいまどこへ消えてしまったのでしょう。 甘糟さんが指摘するようにスマホの先へとつながるネット社会やメタバースに注がれているのかもしれないし、多様化する嗜好や社会に応じて分散してしまったのかもしれません。そのどちらが正しいというわけではないけれど、当時の時代の先端を享受していたおふたりには一種「遊びつくした」という清々しさが感じられ、なによりとてもカッコよくみえました。やっぱり、遊ぶのって大事なことなんだなぁ。久々に、どこかへ踊りに行ってみようかな。
文・編集/秋山 都(Web LEON)、写真/赤澤 昴