香港の民主化運動のリーダー45人に実刑判決。アーティストのクラリス・ヤンは懲役6年
香港の民主化を推進するために行動を起こしたアーティストで議員のクラリス・ヤン、元法学教授のベニー・タイ、著名な活動家のジョシュア・ウォンら47人が、2020年に施行された中華人民共和国国家安全法により逮捕された件の裁判で、11月19日、判決が言い渡された。 現在38歳のクラリス・ヤンは、2014年に香港で行われた民主化デモに参加し一躍有名人に。「雨傘運動視覚資料アーカイブ」のために、この運動に関連するアート作品の制作や写真を収集する手助けを行った。その翌年に湾仔地区の地区議会議員選挙に立候補し、親中派候補を破り当選を果たした。そして2019年には湾仔地区議会の議長に就任した。 当時、選挙での勝利についてアートネットの取材にこう答えている。 「上層部が『ノー』と言えば、彼らはその秩序に敢えて異議を唱えることはしません。想像力が欠如しているのです。しかし、アートのバックグラウンドを持つ私は、物事を違った視点で見ることができます。」 その後、中国が香港の政治および司法制度への介入を強める中、2020年7月、法学者ベニー・タイを中心とした民主派グループは香港立法会の非公式な予備選挙を実施。民主派候補が立法会で過半数を占めることで、親中派政府の政策を阻止し、圧力をかけるためだ。ヤンは選挙への立候補を決め、60万人以上の香港市民が参加した。だが、北京政府に従う香港政府当局は、この予備選挙は政府を「麻痺」させ、当時施行されたばかりの国家安全保障法を弱体化させるための計画の一部であると主張し、関与した47人を逮捕。香港市民は彼らを「香港47」と呼び、その勇気を称えた。 逮捕された47人のうち、2人は今年5月に行われた裁判で無罪となっている。残り45人の判決が11月19日に言い渡され、ヤンは「国家転覆」の罪で懲役6年の判決を受けた。しかし、裁判記録によるとヤンは「計画の合法性に関する彼女の誤解の可能性」を理由に3カ月の減刑、さらに文化政策や慈善事業への貢献を称賛する投書があったことを理由に同じく3カ月の減刑が認められた。 この運動の中心人物とされるベニー・タイは、最も長い懲役10年、ジョシュア・ウォンは4年8か月を言い渡された。ウォンは法廷の証言席を去る前に、「香港を愛しています。さようなら」と叫んだ。ほかの42人の被告にもそれぞれ実刑判決が下された。 2020年12月に中華人民共和国国家安全法が施行されて以来、多くの民主化推進派が投獄されたり、身の安全を求めて国外に脱出したりしている。そして、複数の市民団体や独立系メディアが閉鎖に追い込まれている。欧米諸国は、「香港47」の裁判を政治的な見せしめに使っているとして一様に非難している。