【NBA】クレイ・トンプソンが新天地デビュー、3ポイントシュート6本成功の22得点「最初の一つを乗り越えるのは素晴らしい」
「興奮した。観客のどよめきを聞いて気分が良かった」
マーベリックスは2024-25シーズン開幕戦でスパーズを相手に120-109で勝利した。昨シーズンにNBAファイナル進出を果たしたチームの主力メンバーのほとんどが残留し、各ポジションの層は厚く、ベテランと若手のバランスも良い。そしてチームの核となるルカ・ドンチッチとカイリー・アービングのコンビは、クレイ・トンプソンを加えたトリオとなる。 NBAのスタイルを変えたウォリアーズの戦術『ペース&スペース』の中心だったクレイは、34歳にして新たな挑戦を選んだ。これまでウォリアーズ一筋で、ウォリアーズのバスケしか知らなかった彼にとっては簡単な挑戦ではないが、フレッシュな気持ちで挑戦を楽しんでいる。そして、そのデビュー戦も笑顔でプレーし、6本の3ポイントシュート成功を含む22得点を挙げて勝利に貢献した。 試合開始から3分、ドンチッチのパスを受けて、3ポイントシュートと見せかけてワンドリブルを入れることでディフェンスをかわしてミドルレンジのシュートを決めたクレイは、ビクター・ウェンバニャマからスティールに成功するなどディフェンスでも良いプレーを見せた。リスタートの場面でクレイの走り出しを見逃さなかったドンチッチからパスを受け取り、トップスピードのまま反転して放った3ポイントシュートを決め、どんどんリズムに乗っていった。 「最初は緊張と不安でいっぱいだったんだ。でも数分後には一つ仕事をやり遂げて、あとはスムーズになった。まだ10月だし、たった1試合だけど、最初の一つを乗り越えるのは素晴らしい。素晴らしいデビューになったよ」とクレイは笑顔を見せる。 ウォリアーズ以外のチームの一員としてコートに立つ気分を「ただただ興奮した」と語る。「観客のどよめきを聞いて気分が良かった。これは最初の一回しか味わえない感情だと思うから、あの瞬間は一生大事にするつもりだ」 彼を緊張と不安から解き放った第1クォーターの2本のシュートは、いずれもドンチッチのアシストによるもの。フィールドゴール13本中7本成功、そのうち4つがドンチッチからのパスを受けて決めたものだ。 「ルカの才能は信じられないし、理解しがたい部分もある。子供の頃から最高の選手は速く走り、高く跳ぶと教えられてきたけど、ルカはそうじゃない。自分のペースでプレーすると決めていて、他の誰よりも上手く試合を支配する。その恩恵を受けられるのは素晴らしいことだ。でもまだスタートを切ったところで、ここからチームとして高め合えると期待しているよ」 ドンチッチとカイリーによるクリエイトだけでなく、PJ・ワシントンとダニエル・ギャフォード、デレック・ライブリー二世のフロントコート陣によるオフェンスリバウンドの強さも、クレイが安心して3ポイントシュートを打てる理由になっている。 ドンチッチはゲームハイの28得点を記録。試合序盤はシュートタッチが悪く、打っても打っても決まらない出だしとなったが、新たなパートナーとなるクレイとの相性の良さを感じられたことでストレスを抱えずに済んだ。そして彼のシュートが当たり始めると、マブスのオフェンスは手の付けられない勢いとなった。 第4クォーター序盤、ドンチッチがライブリー二世とのピック&ロールでディフェンスの注意を引き付けた瞬間に、マークを外して3ポイントラインまで下がって来たクレイにパスを出したドンチッチは、クレイがシュート体勢に入る時点で小さくガッツポーズをして自陣に戻り始めた。その2分後にもディフェンスを引き付けてクレイにパスを出すと、小さく拍手をしながらディフェンスに戻る。すでに呼吸はぴったりで、リズム良く打てるお膳立てをすれば決まるという信頼関係が築かれている。 「すごい才能だよ。一緒にプレーするのはすごく簡単だ。ただ彼の動きをしっかり追っていればいい」とドンチッチはクレイの才能を称え、クレイはこのシーンを振り返り、「決まって良かったよ。ルカを間抜けにするわけにはいかなかった」と楽しそうに話した。 会見の最後、クレイはボックススコアの用紙で作った紙飛行機を飛ばした。「テイクオフだ!」