【現地突撃ルポ】有権者10億人が熱狂する世界最大級「インド総選挙」が面白い!
とはいえ、失業率の上昇やインフレは相当深刻。与党側はモディ個人の人気でそうした不満を覆い隠す戦略ですが、うまくいくかはわかりません。ここ数年のモディ政権は右傾化(ヒンドゥーナショナリズム)と権威主義化が進んでいて、欧米諸国は懸念を示しています。 今回の選挙前に、モディ政権は野党連合の党首のひとりを逮捕(のち最高裁命令で一時保釈)し、同連合の盟主である国民会議派の銀行口座を凍結しました。野党の政治活動を制限するような行動に、すでにアメリカは懸念を表明しています。野党の活動の自由や宗教間の平等というのは、民主主義の基本原理。 モディ政権が継続して、さらに右傾化と権威主義化が進めば、欧米諸国との溝は深まる一方でしょうね」 熱気と期待、そして不安が渦巻く選挙の開票日は6月4日。「世界最大の民主主義国家」を自称するインドの行方に要注目だ。 ●フリーライター・葉月(はづき)しらインド、西ベンガル州コルカタ在住。現地の大学に在籍中。大学の授業がよく休校になるので、勉強の合間に執筆活動を行なっている。冷えたビールを飲むのが趣味 取材・文・撮影/葉月しら