日本アニメの未来はインディ系が開く 新進3監督が明かす製作秘話 東京国際映画祭
第37回東京国際映画祭のアニメ・シンポジウム「日本アニメの新世代」が1日、開催された。登壇した3監督は、いずれも新進インディペンデント系。日本のアニメのほとんどは原作ありきで物量を投入した商業アニメだが、3人は独自の資金集めや製作手法でオリジナルの世界を構築して劇場公開にこぎつけた。インディペンデントならではの自由と苦労を語り合った。 【写真】第37回東京国際映画祭のレッドカーペットに登場した「外道の歌」の(左から)白石晃士監督、亀梨和也、窪塚洋介、南沙良、久保田哲史プロデューサー 参加したのは「数分間のエールを」のぽぷりか、「クラユカバ」の塚原重義、「メイクアガール」の安田現象の3監督。短編映画やミュージックビデオを中心に活躍し、2024~25年に長編映画が劇場公開または公開予定だ。
YouTube、ニコ動がきっかけに
3監督とも、YouTubeやニコニコ動画など動画共有プラットフォームを足がかりに映像製作を始めた。高校生の時にニコニコ動画で配信されていたミュージックビデオにひかれたぽぷりか監督は、その後美大を受験し、自主製作を開始する。安田監督は、自らの小説やシナリオを多くの人に届けたいといった思いから、自身で培った3DCGのスキルと掛け合わせてショートアニメ製作をスタート。その後YouTubeにアップロードした「メイクラブ」がヒットし、「メイクアガール」へとつながった。また塚原監督も、YouTubeで自主製作アニメがブームだった10年前後、学生だった石田祐康監督らの短編アニメ「フミコの告白」(09年)に触発され、当時すでにアニメーションの仕事を始めていたが、自主製作を再開したという。 クラウドファンディングも、インディ系のクリエーターには味方となっているようだ。塚原監督は長編でなければ表現できないキャラクターのドラマを描きたいと考えて「クラユカバ」を企画した。製作会社などに持ち込むも断られる日々が続き、クラウドファンディングを実施。劇場公開されたのは構想から10年の月日がたってからである。 安田監督も「メイクアガール」の劇場公開にあたってクラウドファンディングを実施している。これまでのショートアニメはSNSで無料で公開しており、自身が作った作品に「お金を払う価値はあるのか」を直接見せつけられる怖さがあったと振り返っていた。