日本アニメの未来はインディ系が開く 新進3監督が明かす製作秘話 東京国際映画祭
長尺、大人数 人に任せないと
長編になれば製作体制も大きく異なる。ぽぷりか監督が圧倒的に違うと感じたのは「尺の長さ」。60分の長編作品を作るには、3~4分のミュージックビデオの作り方では通用せず、未知の領域であった。安田監督は「限られた予算と人数でスケジュールを守る特殊なワークフロー作りの方が苦労した」と話す。 関わる人数も増える。ぽぷりか監督は日ごろ3人の映像製作チーム「Hurray!」(ぽぷりか監督、おはじき副監督、まごつき・アートディレクター)で活動しているが、長編を作るにあたってメンバーを集めてもらった。人数が増えたことにより、「自分たちが作りたいものにどれだけ近づけることができるか」に悩んだという。安田監督はチームで製作したことにより、「ひとりの際は使わなかった脳みその筋肉が増えた」と話す。全部自分で担わず、チームのメンバーに任せることで無理のないペースで高いクオリティーのものを作ることができたという。塚原監督も「長編の物量は(自分が携わる分を)手放さないと回らない」と判断し、「任せるところは任せる」スタンスでいた。チームが慣れてくると、メンバーの得意な部分が見えてくるので任せやすくなった。Vコンテ作りや撮影、編集などを自分で押さえていれば、違った方向性に進むことはなかったと振り返った。 「今後、インディペンデント作品から長編作品製作の流れは増えるか」という質問に対し、3人とも「増える」と回答。昔と違い今は少人数でもアニメーションを作れるツールが増えているのに加え、SNSで誰でも簡単に発表することができる。またSNSの普及によって、「オリジナル作品を出したいプロデューサーには、出会いの場になっている」と安田監督は話していた。
ライター きどみ