自傷の理由は「かまわれたいから」ではなかった...境界性人格障害の女性が行為を繰り返していた「意外すぎる理由」
なぜ人は心を病むのだろう。 心の病に関心を持ち、精神科病院で看護師として働き始めた一人の女性。彼女が出会った患者たちは、妄想や幻覚・幻聴、希死念慮……それぞれが皆、自分自身と闘っていた。『精神科ナースになったわけ』(イースト・プレス)は、そんな精神科病棟のリアルな現場を描いた作品だ。 【マンガ】自傷行為が止められない境界性人格障害の女性が負った「心の傷」 前編『「雪の中に立たされ、タンスのカドで頭を殴られた」境界性人格障害の女性が負った“心の傷”…看護師が見た「精神科病棟の世界」』に続き本稿では、境界性人格障害の女性・ユカリがなぜ自傷行為を繰り返すのか、主人公の看護師・太田と対話するシーンが描かれる。
自傷行為は「かまわれたい」から?
感情が高ぶると、病院でもリストカットを繰り返してしまうユカリ。周囲の看護師たちは、彼女の自傷行為を「親の愛情が不足して寂しいから」「かまわれたいのだ」と考えていた。 だが、太田は自身が母親を亡くしたときの経験を思い返し、「身体に物理的な痛みを加えることが、何かしら心の拠りどころになっているのではないか」という考えに思い至る。
「痛い」んじゃなくて「熱い」
ユカリの痛々しい傷跡を見た太田が「そんなに手首を切って、痛くないんですか?」と問いかけると、ユカリは一言「熱い」と答えた。思いもかけない返答に思わず太田は驚く。 ユカリが自傷行為を始めたのは、大学時代のこと。睡眠障害に悩み、生きているのか死んでいるのかもわからなくなった彼女は、脱脂綿や消毒液などの道具を周到に用意し、夜になると自傷行為を繰り返していたという。 彼女にとってはある種の儀式のようなものであり、血の熱さを感じることで「生きてる感じがする」のだという。太田は、ユカリが心の底では生きたいと願っていることを悟るのだった。 「リストカット当事者の方に『切るのは痛くないか』と質問した際、『痛くないよ、熱い』と返ってきたことがありました。その予想外の答えにとても驚き、当事者の視点や感覚を、本人の言葉で聞く重要性や尊さを感じました」(水谷さん)
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