「実は競技中に…」やり投げ金メダル・北口榛花選手が偉業達成の裏で感じていた異変 緊張、悔しさ、反響、そして今後。パリ五輪を終えた思いを語る
パリ五輪の戦いを終えて女王は今、何を思うか―。陸上女子やり投げの北口榛花選手(26)=JAL=は、昨年の世界選手権初制覇に続き、五輪でもマラソン以外の陸上女子種目で日本選手初の頂点に立つ偉業を達成した。閉幕後は拠点を置くチェコに戻った金メダリストがオンラインでのインタビューに応じ、足をつっていたという競技中の秘話から、日本選手団の旗手も務めた期間中の思い出、五輪後の反響や海外挑戦の意義まで、存分に語った。(聞き手 共同通信・山本駿) 【写真】誹謗中傷の連鎖、傷つく選手たち SNS事業者、対策強化が急務
―8月10日に行われた決勝では、1投目に65メートル80をマーク。ライバルたちに重圧をかけ、逃げ切り勝ちを収めた。 「1投目で絶対にそれなりの記録を投げようと、自分の中でプランニングしていた。全てとまでは言わないが、かなりエネルギーはかけて臨んだ。緊張感もすごくあったので、実は4投目ぐらいから右ふくらはぎをつっていた。昨年の世界選手権(ブダペスト)の1投目と同じような感じ。ブダペストのことがあったから、たくさん飲み物を飲んで気を付けていたが駄目だった。踏ん張りきれなくなっていた」 「今までの五輪は67メートルぐらいの記録じゃないと、優勝できなかったと思う。男子やり投げや砲丸投げも高い水準で戦っていたのに対して、今の女子やり投げは70メートル近く投げる選手がいない状態。そのおかげで勝てていると言われるのがすごく悔しい。もっと投げたいと思っている」 「今回65メートル80を投げた時、やりの飛び方がそんなに良くなくても65メートルは飛んだ。70メートルまですぐにいけるかは分からないが、68メートルぐらいは投げられるんじゃないかという手応えは持っている」
―初出場の東京五輪は新型コロナウイルス禍に見舞われた中での開催。パリでの祭典は競技外でも楽しむことができた。 「選手村で女子バスケットボールの選手に会って写真を撮ってもらえた。部屋に入るところの下にカフェエリアでゆっくりできるところがあるが、予選から帰ってきた時にそこにいらっしゃった。バスケの選手は選手村にはあまり入らないスケジュールじゃないかと考え、『今しかない』と思ってお声がけさせてもらった」 「レスリングの選手と車で一緒になることも多かったし、ブレイキンの選手とも食事スペースでお話しさせてもらった。いろんな人のお話を聞けて面白かった」 ―閉会式ではブレイキン男子の半井重幸選手(ダンサー名・SHIGEKIX、第一生命保険)とともに旗手も務めた。 「2人で2時間ぐらいお話しさせてもらって、楽しかった。シゲキックスさんが『旗は開会式で持ったので北口さんが持っていいですよ』と言ってくださり、ありがたかった。周りで2人ペアの国は一緒に持っている人が多かったので、入場の時は『一緒に持ちませんか』と話して、2人で持った。あんなに日本の国旗を持って歩けることもない。会場の音楽も含めてすごく楽しめた」