唯一無二のオープン・スーパーカー! 〈マクラーレン〉アルトゥーラ スパイダー
本格的な夏の到来を前に、是非こんなクルマと過ごす自分を想像してほしい。ゴージャスなオープンモデルでありながら、キリッと極辛口。最上のパフォーマンスを叩き出せる、クラス最軽量のスポーツカー。しかもプラグインハイブリッドを搭載し、電気由来の鋭い加速と高いエミッション性能を誇るとくれば、まるで眉唾⁉ いえいえ、実在するんです。〈マクラーレン〉の一番若いラインナップ“アルトゥーラ”のオープンルーフが登場した。アルトゥーラ スパイダーだ。
このクルマの華やかさを際立てるかのように、国際試乗会の舞台に設定されたのは、モナコ公国を見下ろす最高のロケーションに建つ、フレンチ・リビエラ地方のリッチなホテル「ザ・メイボルン・リビエラ」。奇しくもF1カナダグランプリで、好調なランド・ノリスが2位表彰台を獲得した翌日、筆者はアルトゥーラ スパイダーのセンターコンソールに埋め込まれたスターターを押し、プロヴァンスへのドライブに出掛けた。 すでに発表されているクーペモデルに続いて、早くも追加されたスパイダーだが、単なる“クーペの屋根切りました版”ではないということは〈マクラーレン〉というブランドを少しでも知る人なら、容易に想像できるだろう。
先述のとおりこのアルトゥーラ スパイダーはプラグインハイブリッドモデル。つまり〈マクラーレン〉初のハイブリッド・コンバーチブルとなる。3ℓV6 ツインターボエンジンは最高出力が20PS向上され、これに95PS/225Nmの7.4kWhリチウムイオンバッテリーが組み合わされて最高出力700PSを叩き出す。と同時に〈マクラーレン〉のコンバーチブル史上最高燃費はなんと約20.8㎞/ℓ(WLTP複合モード)! パフォーマンスと燃費のアンバランスにひっくり返りそうになる数字が並ぶ。 このパワフルなドライブトレーンを受け止めるのが、同社の十八番である軽量技術。他メーカーへのサプライをもこなす自社製カーボンは、それ自体で-10%を叶えているほか、制御などを行うコンピューティングを新たなイーサネット・アーキテクチャに変更して制御の速度を飛躍的に向上させるとともに、ケーブルを25%軽量化。そもそもこのV6エンジン自体が160㎏と驚異の軽さであることなどから、乾式重量はクラス最軽量の1457㎏、パワーウエイトレシオが480PS/tと圧巻のスペックを誇るのだ。 しかし、南仏のタフなワインディングを流しても、オートルート(高速道路)で過激なレーンチェンジを試しても、有り余るパワーに対しての印象はあくまでもノーブル。むろん踏めば瞬発的に生まれる加速やクイックなハンドリング、そして速度を上げると途端に路面に吸いついていくような空力性能は〈マクラーレン〉のソレそのものなのだけど、驚異的なのは四肢のなめらかな動きだ。