ザック・セイバーJr.、史上2人目の外国人『G1』制覇!両国国技館で栄光の頂点へ「今年は俺にとって最後のチャンスだった」
「1・4(東京ドーム)はちょっと遠いね。ザックは両国が一番好きだよ」
ザック・セイバーJr.が遂にやってのけた。8月18日、東京・両国国技館で開催された新日本プロレス『ヤマダインフラテクノス Presents G1 CLIMAX 34』にて、ザックは辻陽太を下し、史上2人目の外国人として『G1』の頂点に立った。その闘いぶりは、まさに圧巻だった。 【動画】『G1 CLIMAX 34』優勝決定戦 ザック・セイバーJr.vs辻陽太(試合ハイライト) 2004年4月、イギリス・ケント州シェピー島でデビューしたザック。幼き頃からプロレスに魅了され、NWA UKハンマーロックジムでの初めてのトレーニングから、日本のリングに立つことを夢見ていた。 その夢はヨーロッパ各地やプロレスリング・ノアでの活躍を経て、2017年3月6日の『旗揚げ記念日』で新日本プロレスに初上陸することで現実のものとなった。 初登場時には柴田勝頼を下し、RPWブリティッシュヘビー級王座を奪還。さらに、鈴木軍への電撃加入を果たし、タイチとのタッグ「デンジャラス・テッカーズ」でIWGPタッグ王座を3度奪取するなど、その才能は留まることを知らなかった。 シングル戦線でも『NEW JAPAN CUP 2018』と『2022』で優勝し、初代NJPW WORLD認定TV王座にも輝いた。しかし、2024年1月4日の東京ドーム大会で棚橋弘至に敗れ、TV王座から陥落。 だが、16度の防衛記録を樹立し、その実力を再び証明した。そして迎えた今回の『G1 CLIMAX 34』。ザックはAブロック1位で予選を突破し、準決勝では鷹木信悟を下して決勝へと駒を進めた。 決勝の相手は、Bブロック3位から這い上がってきた辻陽太。両者がリングに立った瞬間、会場には緊張感が漂った。 ザックは序盤から辻の左腕に狙いを定め、変幻自在の関節技で攻め立てる。一方の辻も持ち前のパワーで応戦し、一進一退の攻防が続いた。 試合終盤、ザックは自身の師匠であり、先日引退を発表したプロレスリング・ノア小川良成の得意技である足4の字ジャックナイフ固めを繰り出し、会場を沸かせた。 その姿には、師匠への敬意と感謝が込められていたに違いない。そして最後は、腕と足を同時に捉える複合関節技「クラーキーキャット G1 34 winner テッカーバージョン」で辻からギブアップを奪い、堂々たる勝利を収めた。 勝利の瞬間、ザックはリング上で「勝ちましたー!」と喜びを爆発させ、「小川先輩、プロレス人生お疲れ様でした。全部ありがとうございました」と師匠への感謝を述べた。 その瞳には、20年に及ぶプロレス人生と師匠への想いが溢れていた。 バックステージでのコメントでは、ザックは自身のキャリアを振り返りながらも、さらなる高みを目指す決意を語った。 「8年。キャリアの中で初めて、自分に疑問を感じ始めていた。『G1』で優勝できるか? 自分で望み描いたほど、自分は優れているか? 今年でなければ……今年は俺にとって最後のチャンスだった」と、今回の優勝が自身にとってどれだけ重要だったかを強調した。 さらに、次なる目標として10月14日の両国国技館大会でのIWGP世界ヘビー級王座への挑戦を宣言。「1・4(東京ドーム)はちょっと遠いね。ザックは両国が一番好きだよ」と語り、会場への特別な思い入れも明かした。 この日の試合には、DDTプロレスリングのクリス・ブルックスも駆けつけ、ザックの勝利を祝福。英国出身の彼らが日本のリングで活躍する姿は、多くのファンに感動を与えた。 ザック・セイバーJr.のこれまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。しかし、ザックの情熱と努力、そして師匠や仲間たちの支えがあったからこそ、今回の快挙を成し遂げることができたのだろう。 これからザックが目指すのは、IWGP世界ヘビー級王座の獲得。プロレス界に新たな歴史を刻んだザック・セイバーJr.、その挑戦はまだまだ続く。 <写真提供:新日本プロレス>
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