小学生チームを「完全学年別」にする利点とは? 縦関係希薄も…控えに現れる“兆し”
今夏の全日本学童野球大会初出場…埼玉・山野ガッツ「小学生はステップアップの段階」
少子化の時代に88人の部員数を抱え、完全学年別で大会に出場するマンモス学童野球チームが埼玉県越谷市にある。山野(さんや)ガッツは今夏、創部54年目にして“小学生の甲子園”と呼ばれる「高円宮杯 第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場。全国の強豪が集まる大会で1勝を挙げ、続く2回戦では連覇を狙う新家スターズ(大阪)をあと一歩まで追い詰めた。同学年のみで活動を続けるユニークなチーム運営は、どのように生まれたのだろうか。 【動画】打球方向を指示してノック 76歳監督が実践…小学生の“成功体験高める”練習法 2008(平成20)年にニュータウンの「越谷レイクタウン」が街開きされて以降、部員数は増加の一途を辿った山野ガッツは、今では6、5、4、3年生と2年生以下の5チームを編成。それぞれが独自で練習や試合を行っている。 上級生チームの指導者に関しては、1人の監督が5年生→6年生と2年間指導し、再び5年生チームに降りるシステムで、2年かけて長期的に育成することができる。指導歴12年の鍋島匡太郎さんは、現在5年生のヘッドコーチとして、育ち盛りの子どもたちと向き合っている。 「以前は6年生、5年生のAチームと、4年生以下のBチームだけでした。そこから、冗談っぽく私たちは“レイクバブル”と呼んでいるんですけど、人数も増えてきて、試合に出られない子も出てきたので、5年ほど前から学年別で分かれてみようかと。やってみないとメリットはわからないので、まずは始めてみました」 完全学年別のシステムを導入後は、下の学年にどれだけ逸材がいても、チームの決め事として昇格させることはしない。同じ学年のみで活動を続けるので、人数は限定され、実戦経験も多く積める。レギュラーではなかった選手が、中学で地区の選抜チームに選ばれるなど、卒団後に芽を出すケースが増えたという。 「練習試合も1日に2試合組むので、必ず全員出します。なるべく早い段階で、より多くの経験を積めますし、どこで花が開くかもわかりません。小学生は、中学や高校に繋げるためのステップアップの段階だと思っています」