トヨタのe-Paletteを支えるMay Mobilityの自動運転テクノロジー
北米におけるロボタクシー分野のリーダーであるアルファベット傘下のウェイモは先日、有料乗車サービスの利用回数が、8月以降に50%以上増加して週あたり15万件以上に達したと発表した。さらに、最新の安全データによるとウェイモの自動運転車両は、人間のドライバーとの比較で、エアバッグが展開される重大事故を起こす確率が、84%も少ないことが示されている。 ロボタクシーが危険だとする主張は、少なくとも今のところは過去のものになったようだ。 一方、この分野で注目すべきもう1つの企業が、エドウィン・オルソン博士がCEOを務めるMay Mobility(メイ・モビリティ)だ。米国ミシガン大学の自動運転開発チームが2017年に設立した同社は、固定ルートでの無人運転を目指すシャトルバスを運行しており、アリゾナ州サンシティでの展開はすでに無人運転に移行している。 メイ・モビリティは、これまでに米国内の9つの拠点で展開を行ってきたが、間もなく16カ所に拡大すると述べている。そのいくつかは日本で行われる予定で、同社は出資元のトヨタとNTTとの提携を通じて、来年からサービスを開始する。メイ・モビリティの車両は、トヨタのe-Paletteのプラットフォームを使用して運行される。 e-Paletteの車両は、自動運転による人員の輸送に最適化されたもので、日本の安全規制に準拠しており、管理された環境での安全な運行が行える。メイ・モビリティは、トヨタやNTT、MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)などと緊密に協力し、最適な使用ケースと展開場所を検討していると述べている。 トヨタは2019年のメイ・モビリティの5000万ドル(約76億円)のシリーズBラウンドを主導し、それ以降も投資を続けている。NTTは、2023年末に発表された1億500万ドル(約160億円)のシリーズDラウンドを主導し、メイ・モビリティの自動運転テクノロジーを日本国内で独占的に提供する権利を取得している。 メイ・モビリティの累計調達額は3億ドルに達している。 テスラは、先日発表した、「サイバーキャブ」を用いたロボタクシー事業に関して疑わしい主張をしているが、メイ・モビリティは、この分野のはるかに先を進んでいる。 イーロン・マスクは、LiDARやレーダーなどの高度なセンサーを使用せずに、カメラのみを用いた自動運転が可能だと主張しているが、メイ・モビリティのオルセン博士は、それに異を唱えている。「理論的にはカメラだけでも自動運転は可能だが、現状の技術と訓練データは、その水準に達していない。この技術が可能になるのは、まだ数年先のことだ」と博士は述べている。
Richard Bishop