『離婚しようよ』から『季節のない街』まで、「供給過多だった」と語る宮藤官九郎が、2023年の仕事を振り返る
同時進行で、いろんな仕事をするのが自分には合っている
10年前の脚本作「あまちゃん」も再放送され、連日SNSが盛り上がった。人気の理由を自身で分析すると? 「朝ドラというフォーマット自体に中毒性があると思うんです。毎日15分ずつ放送があって、生活習慣にもなりやすい。そのシステムを楽しまない手はないと思って、週の1日はなにも進まない回をつくったり、自分なりの面白さを追求しました。のんちゃんをはじめ、まだあまり知られてない子たちが毎朝頑張っている姿を見られるという、朝ドラの基本を守れたのも大きかったと思います」 宮藤がすごいのは、脚本家や監督として数々のヒット作を手がけるだけでなく、ラジオパーソナリティ、音楽業、舞台の演出など、常に多岐の仕事を抱えていること。 「ひとつのことだけを考えていられるタイプじゃないんです。長谷川和彦監督みたいに何十年も連合赤軍のことだけ考えるとか、無理(笑)。現場の助監督を見て『ゆとりですがなにか』が生まれるなど、いまやっている仕事が次の作品のアイデアにつながるので、同時進行でいろんな仕事をするのが自分に合っているみたいです」 20年以上脚本を書いているが、常に新しい価値観を取り入れて、宮藤流の傑作を生み出し続けている。今後についてはどう考えているのだろうか。 「体力的な部分では衰えていきますが、休んでエネルギーをためることができないんですよね。ずっと動いていないとだめ。『面白かったね』と言われるのがいちばんうれしいので、これからも書き続けていくと思います」
撮影:興村憲彦 文:上田智子 スタイリング:チヨ