Bloomberg

（ブルームバーグ）： 15日の市場で原油価格が続落。イスラエルがイランの石油生産施設を標的にしない可能性があると米紙ワシントン・ポスト（ＷＰ）が報じ、来年にはかなりの供給過剰が生じるとする国際エネルギー機関（ＩＥＡ）の見通しにトレーダーの関心が移った。

ウェスト・テキサス・インターミディエート（ＷＴＩ）原油先物11月限は一時５％下落し、１バレル＝70ドルに接近。14日には2.3％下落した。北海ブレント原油は74ドルを割り込んだ。

ＷＰ紙が事情に詳しい政府高官２人の話として報じたところでは、イスラエルのネタニヤフ首相はイランの石油や核施設ではなく軍事施設を攻撃する用意があるとバイデン政権に伝えた。

グローバルＸマネジメントの国際事業開発・企業戦略部門の責任者、ローハン・レディ氏は「市場の反応は当面、地政学的な石油リスクプレミアムを低減ないし縮小させる可能性が高い」と述べた。

中東での紛争激化の見通しをトレーダーらが注視する中、原油価格はここ数週間、波乱の展開を見せている。10月１日にイランからミサイルが多数発射されたことに対し、イスラエルは大規模な報復を誓った。地政学的な緊張で世界の石油供給量の約３分の１を占める中東での生産が脅かされており、ＷＴＩは今月約５％上昇した。

週末の中国財政省による記者会見では、世界最大の原油輸入国の同国における消費を促進する新たな具体的インセンティブが提示されなかったことから、原油先物価格は14日に下落した。さらに、石油輸出国機構（ＯＰＥＣ）が世界石油需要の伸びについて、今年と来年の見通しを３カ月連続で下方修正したことも、市場に暗い影を落とした。

原題：Oil Tumbles 5% Following Report Israel Won’t Target Iran’s Crude (抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.