リーグ22戦20発の大津エース山下景司がプレミア決勝でも躍動! 圧巻2発で創部初の日本一に貢献。今季なぜブレイク?「自分のイメージに身体が追いついてきた」
1つは課題と向き合った形、もう1つは得意とするパターン
12月15日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグのファイナル。全22チームを東西に分けて一年を通じて優勝を競うリーグ戦を経て、東西の王者が日本一を争う最後の戦いだ。 【動画】4発完勝! 選手権の熊本県大会決勝 大津vs東海大星翔 WEST王者の大津とEAST王者の横浜FCユースが激突。序盤から試合を優勢に進め、前半のアディショナルタイムにMF畑拓海(3年)の無回転ミドルで先行した大津は、後半も主導権を掌握。76分と後半アディショナルタイムにエースの山下景司(3年)がゴールを奪い、3-0の完勝で歓喜の瞬間を迎えた。 「エースストライカーの山下が仕事をしてくれたことが優勝につながった」。そう振り返ったのは山城朋大監督だ。1-0で迎えた後半はペースを掴みつつも、なかなか追加点を奪えず、ピンチも少なからずあった。そうした状況下で生まれた山下の2発は圧巻の一言。FWらしさと良さが詰まった得点で、1つは課題と向き合った形で、もう1つは得意とするパターンだった。 76分の1点目は狡猾な動きから。ボックス内でプルアウェイして相手のマークを外すと、右サイドを抉ったMF野口悠真(3年)のクロスに飛び込む。ニアサイドで難しい体勢から腰を捻って頭でネットを揺らした。決して簡単ゴールではない。山下は言う。 「クロスに対して相手のマークを外すことや、クロスにヘディングで合わせて点を決めるのは自分自身、得意ではないんです。プレミアリーグでも頭は1つか2つしか決められていない。朝練習で積み上げてきた形を出せて良かった」 裏抜けや泥臭く決めるのは“十八番”だったが、クロスに合わせるシュートやヘディングは苦手。そのなかで磨いてきた新たな形を発揮した。 2点目は観衆の度肝を抜くロングシュートだったが、実は最も得意とするフィニッシュ。90+4分にハーフウェーラインを超えたあたりでボールを持つと、相手GKが前に出ている隙を見逃さず、右足を振り抜いてゴールに収めた。 「相手の意表を突くシュートは好きなプレー。コースが見えた瞬間に思い切り打つだけでした」 今季はプレミアリーグWESTで全22試合に出場し、20ゴールの大暴れ。トップスコアラーにも輝き、名実ともに世代を代表するストライカーとなった。その一方で昨季は苦戦。リーグ戦では19試合で4ゴールしか奪えていなかった。 今季は開幕から好調を維持し、ゴールを重ね続けた。なぜ山下はブレイクしたのだろうか。本人は自身のパフォーマンスの変化についてこう話す。 「3年生になって思ったようにプレーができるようになった。フィジカル面も鍛えられ、スピードも少しだけ上がった。今まで見えてきた景色に対して、自分のイメージに身体が追いついてきた感覚がある」 下級生の頃から身体を鍛え続け、今季も継続してフィジカルメニューを率先して取り入れてきた。その結果、30メートル走やターンでスピードが増し、数字にも表われるように。自信にも繋がり、点取り屋としての才能が花開いた。 大一番で脚光を浴びた背番号9だが、戦いはまだ終わっていない。12月28日に開幕する選手権が残されている。創部初の日本一をプレミアリーグで成し遂げ、お世話になった山城監督と平岡和徳テクニカルダイレクターに恩を返せたが、3年間の感謝を伝えるためにも、もうひとつの目標である選手権優勝を果たしたいと誓う。 「得点王になって、優勝したい」とは山下の言葉。今日だけは優勝の余韻に浸るが、最後の大舞台で結果を残すために気を緩めるつもりはない。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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