「陰謀論」にハマる人が後を絶たない根本原因、フェイクニュースとの違いは何なのか
■対極にあるのは常識や規範 Q 陰謀論に陥らないためにできることは? 日々の仕事が順調で、家族や友人と良好な関係を構築できている人ほど陰謀論には陥りにくいという研究結果がある。 オスロ大学のビェルヴィアチョネクらの研究によれば、ノルウェー人約2000人を対象に約30年間にわたって追跡調査を行った結果、友人が少なく孤立し、中・長期的に孤独感を覚えている人ほど陰謀論を信じる傾向にあることが明らかになっている。
陰謀論の対極にあるのは、常識や規範だ。私もかつては「ネット右翼」で、マスメディアの情報をすべて疑い、ネットの情報ばかり信じている時期があった。しかし、親身な友人たちから「何を信じるかは自由だが、社会常識は持ってくれ」と諭され、数年かかってようやく自分のおかしさに気づけた。 今では大学で多くの学生に講義をしなければならないし、仕事上、意見の違う人ともうまくやっていかなければならない。日常を円滑に過ごすためには、どこかで現実と折り合いをつけ、周囲とすり合わせながらやっていくしかない。「常識」とは違う意見で社会を変えられるのは、傑出した才能を持つ人だけであることを知るべきだ。
(聞き手:野中大樹、井艸恵美)
野中 大樹 :東洋経済 記者/井艸 恵美 :東洋経済 記者