米利下げ 日銀利上げ見送り、揺れるマーケット 専門家の見解は?【Bizスクエア】
――植田総裁が「モメンタム」(勢い・動向)を見たいと言った賃上げの動向。こちらもすでに連合が要求を出していて、それぞれの産業別も要求額が出てきていて、2024年並みということは見えてきている。さらに1月になったらもっと詳しくわかるのだろうか。 東短リサーチ 加藤出氏: 賀詞交換会以降の企業経営者のコメントや1月の日銀の支店長会議で地方から入ってくる情報などで、今よりはもう少し情報があるだろうが、決定的なものは1月にはまだないだろう。ただぼかすために春闘の結果を待ちたいのではなく、モメンタムを確認したいという曖昧さは残している。 ――会合前には金融関係者の間では12月に利上げがないということは、1月で決まりだという観測が強かった。 東短リサーチ 加藤出氏: 12月になければ1月だと思う。ただトランプ新政権の政策の不確実性もあるので、今回の会見では曖昧さを残すと思っていたが、あんなに1月会合の確率を押し下げるような発言を植田総裁がすることに驚いた。 市場では、利上げが12月にあるだろうと思っていた人が、11月あたりで高かったが、日銀からの情報発信を受けてみるみる下がっていった。それでも1月にあるだろうと思っていた人は会見直前まで、変わらず高かったが、植田総裁の会見後にがくんと落ちた。 東短リサーチ 加藤出氏: 今、5割を割ってきた。しかしそこは植田総裁の会見の狙いではあったのではないか。五分五分か、それより低いぐらいにマーケットの期待を下げたいということだったのではないか。 ――1月20日にトランプ氏の大統領就任式があり、その数日後に日銀金融政策決定会合がある。トランプ新大統領が何を発言するかわからないので、むしろ不確実性は増しているのではないか。 東短リサーチ 加藤出氏: そういう意味でも12月に決めた方が良かった面はある。ただこういう非常に慎重で弱気な発言を日銀が発していくと結果的に円安が進みやすくなる。これで年明け以降、アメリカから少し強い経済指標でも出てきたりすると、為替が160円近辺まで行く可能性が出てくる。今は1月利上げの意気込みを示していないが、結果的に1月利上げに追い込まれる可能性もある。日銀は誰かに背中を押して欲しい感じだ。