ラーメンに革命が起きている! と衝撃を受けた一杯とは?
「トイ・ボックス」はしょう油部門第1位、しお部門第3位、みそ部門第1位と、圧倒的な高評価を得ての受賞だった。わたしも、「トイ・ボックス」の醤油ラーメンで「寝ている子を起こされた」状態になり、「いま、ラーメンに美味しい革命が起こっている!」と、それから間を開けることなく、東京中の優れたラーメンを片っ端から食べ始めたのだった。
ミシュランがようやく評価した荻窪「五稜郭」の別格塩ラーメン
私が「トイ・ボックス」へ出かけたきっかけは、「TRY大賞」ではなく、「ミシュラン」の東京篇を見てからのことだった。その「ミシュラン東京」の2025年版が先日発表になった。 私はこのところ、新年度版の「ミシュラン」が出版されると、まずは新しい3つ星のページを開く。昨年度は銀座の鮨屋「青空(はるたか)」だったが、今年は丸の内のフォーシーズンホテルにあるフランス料理店「セザン」だった。
その後に開くのが「ラーメン」の索引ページである。新たにビブグルマンとして掲載された1軒に「函館塩ラーメン 五稜郭」があり、とてもうれしくなった。なぜなら、荻窪のラーメン屋の中で「五稜郭」の塩ラーメンは傑出しているのに、昨年度版では、同じ荻窪にある「there is ramen」がビブグルマンとして登場したからである。
「塩ラーメン」を標榜するラーメンは山ほどあるが、そのほとんどは「塩味」のラーメンである。食べながら塩気を感じさせては、日本料理のお椀など失格である。「塩」を使いながら、「塩分」を感じさせない「塩ラーメン」こそ、本物の「塩ラーメン」と呼んでよい。
「五稜郭」の「塩」の素には昆布があり、この店でしか味わえない「塩ラーメン」と言ってよい。あと、「塩ラーメン」の傑作といえば、荏原中延「中華そば 多賀野」の沖縄粟国の塩を巧みに使った「粟国の塩そば」も素晴らしい。食後、まったく喉が渇かないラーメンである。
ところで、「ミシュラン」のラーメン店の掲載は、出入りが激しい。新しいラーメン屋が数店選ばれたかとおもうと、いつのまにか常連店が姿を消してしまっている。その中にあって、「ミシュラン」がラーメン店を取り上げ始めた初年度から、いまだに掲載されているのが「トイ・ボックス」である。これは、目立たないことだが「快挙」と言ってよい。