阪神・呉昇桓の“違反フォーム問題”が抱えているもう1つの危険
■五輪やWBCでも指摘されなかった投球フォーム 野球規則8・01に「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」とあるが、左足のポンポンという2度のステップが、「途中で止めたり」の部分、すなわち、二段モーションに抵触するのではないかという疑念だ。 現段階では、あくまでも「疑念」で「結論」ではない。審判団は、本格的なオープン戦に入る前までには、現状のフォームについての正式な見解を明らかにするとしているが、和田監督もチームの浮沈のカギを握る守護神につけられた“思わぬ難癖”に困惑している。 「これまで韓国は当然のこと、五輪やWBCという国際試合でもすべてOKで、一度も違反を取られたことのないフォーム。あわてて、修正して、やっぱりOKとなってまた元に戻すなんて無駄な作業で、オ・スンファンを混乱させるだけだから、審判団の見解を待っている状況だ。彼にとって、そういう修正を課すことになれば、何のプラスにもならない。せっかくの彼の持ち味が消えてしまったら元も子もない」 ■国際問題の危惧 韓国メディアへ万全の体制 加えて、阪神のある球団幹部は、こんな心配をしている。 「日本の野球の向かう方向が国際基準化であるなら、すでにWBCでOKになっていた投法を問題にすることは、その流れに逆行することにもなる。過去に、国際試合で一度も問題にならなかった投法が、もし日本のプロ野球だけで問題にされると、日韓の国際問題に発展してしまう可能性もあるだろう」 国際的に現在の日韓関係は、とても繊細で深刻な状況にある。国際舞台で、OKの投法に日本のプロ野球が、ノーという結論でも出すことになれば、スポーツの世界の話が、政治の世界へ飛び火する可能性もなくはない。阪神の広報部では、韓国語の取材案内や韓国語のできるスタッフを配備するなど、韓国メディアに対しても万全の体制を敷いて対応しているが、過激な韓国メディアや、韓国のネット言論の世界を、この違反モーション問題で刺激すれば、どんな波紋を生むのかわからなくなる。