阪神・呉昇桓の“違反フォーム問題”が抱えているもう1つの危険
■評論家の意見は両論 何人かの評論家に見解をたずねたが、「足は滑るように二度着いているが、投球動作が止まっているわけではないから、あれで二段モーションは取れない」という意見の人と「明らかに二度足が着いているから違反でしょう。打者は、ごまかされるわけだから」という両論に分かれていた。 元阪神OBでもある評論家の与田剛氏は、前者の意見。 「彼特有のリズムの取り方であって、私は違反とされるようなピッチングフォームには見えなかった。日本の審判団を批判するつもりは毛頭ないが、彼が韓国でやってきた野球、WBCでやってきた野球、そして日本で、これからやる野球で、その根本となるルールが違うとなると、選手は難しい立場に立たされる。フォーム改造をしなければならないならば、オ・スンファンは困るだろう。異国に勝負に来ている彼の死活問題にもなる。ボールやマウンドや環境などは、日米でも日韓でも違うが、野球のルールだけは、世界中、同じという原則は守られるべきでしょう」 ■国際基準へ向かうコンセプトとの矛盾 結局、見送りとなったが、イニングの合間の投手のベンチ前キャッチボール禁止を検討するなど、NPB及び審判団は、試合の敏速化と、国際基準に近づけようというコンセプトを持っている。その考え方に照らし合わせれば、すでに国際基準でOKとされているオ・スンファンのフォームに、ノーを突きつければ、矛盾点を指摘されても仕方がないだろう。そうなれば、阪神幹部が危惧しているように「オ・スンファンいじめ」として国際問題に発展する可能性も否定できない。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)