侍Jと戦う豪州左腕「府中は第二の故郷なんだ」 SNSでも話題、日本の子供たちと遊んだ恩返しの背景
府中市での少年たちとの交流がSNSで話題に
野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」に出場する日本代表「侍ジャパン」は、13日に名古屋市のバンテリンドームで開幕戦を迎える。初戦の相手オーストラリア代表は1日から10日まで東京都府中市でキャンプを実施。代表選手が公園で少年たちと一緒にプレーする“神対応”が話題となった。子どもたちに笑顔を届けた35歳の左腕が、地域交流に込めた想いを明かした。 【動画】「子どもたちの喜ぶ顔が最高だった」 豪州代表左腕が公園遊びに飛び入り参加した実際の映像(2本目) 住宅街の中にある公園に豪州代表ウェアをまとった男が現れた。少年の投球を豪快にかっ飛ばすと、「うわーっ!!」「ホームランだ!」と大歓声が上がった。大興奮の少年たちに囲まれたのは、3度目のプレミア12出場となる35歳のスティーブン・ケント投手。SNSで話題となった映像について11日、バンテリンドームでの練習後に話を聞くと、「府中は第二の故郷のようなんだ」と笑顔で振り返った。 2018年の親善試合以降、同市でキャンプを張ってきた豪州代表。「数えられないほど来ている」というケントは、「府中の人たちは僕らに本当によくしてくれる。沢山の人が応援に来てくれる」と感謝した。市民球場とホテル間は徒歩で“通勤”。帰り道に公園前を通ると、いつも子どもたちが手を振ってくれた。「だから飛び入り参加してみようと思ったんだ」。恩返しの想いを込めた交流だった。 「彼らはとても興奮していたよ。その姿を見られて素晴らしかった。僕自身も子持ちだから、こういう交流が子どもたちにとってどれだけワクワクするものかわかる」。プラスチックバットを借りてスイングするも、最初の2球はまさかの空振り。「プライドに火がついた」と笑うケントは次の投球を完璧に捉えた。「子どもたちは大興奮でさ。彼らの喜ぶ顔が見られて最高だったよ」と目を細めた。 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)3度出場のベテラン左腕。「前回のプレミア12では僕たちは米国を倒し、スーパーラウンドまで行った。昨年のWBCでも準々決勝に進んだ。でも豪州野球でよく話題になるのは2004年アテネ五輪の銀メダル。もう20年前の話だから、今度は僕たちが新たな記憶を作り、次世代にレガシーを残す番だ」。今大会で目指すは“健闘”ではなく、世界の頂だ。
THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku