「世田谷・横浜に家を買う人」の超残念すぎる深刻盲点 「たしかにイメージはいいけれど」本当に大丈夫?
その結果、不動産の構造的な市況トレンドやそのベースとなる将来の人口動態予測を考えずに、イメージで家を買ってしまう。 極論を言えば、「一生の買い物」という古い呪縛にとらわれたまま、スーパーで新鮮そうな大根を選ぶような姿勢で家を買おうとするのだ。 不動産売買は目先のイメージだけにとらわれず、将来予測などのマクロ視点が非常に重要だ。 今後は全国各地から人口を吸収した東京都の人口の高齢化、少子化が一段と加速し、人口減少も目の前の課題になった。
■「世田谷=高級住宅街」はイメージでしかない 23区の端に位置し、高級住宅街と評される世田谷区も、丘や崖の近い住宅街が多い。その「高級感」は今後、評価できないだろう。 世田谷区は高度経済成長を通じて人口が増え、23区で最大の人口を有するが、人口減少局面では現在価値を正当に評価されず、最も打撃を受ける区になる可能性がある。 南隣にある大田区のように世界から人を集める国際空港というエンジンもなく、開発の最前線となる水際も持ち合わせていないからだ。
都外なら「横浜より川崎」「浦和・大宮より川口」「津田沼より市川」という時代に入った。住宅地の本当の価値の下克上はとっくに始まっている。 ■「住みたい街」は「住めない街」に もちろん、世田谷区、横浜市、さいたま市などがすべてダメなわけではない。〇〇区、〇〇市などという大きな「くくり」の中にも、優劣は確かに存在する。 だが「浦和のマンションは高すぎる」「横浜市でも中区のマンションにはさすがに手が出ない」という状況は広く知られるところとなった。くくりは同じでも、みんなが住みたい場所は、当然ながら高いのだ。
「住みたい街」は「住めない街」を言い換えたにすぎない。 これまで筆者が取材してきた多くの人たち、どこに住もうかと悩む会社員も、不動産会社の社員でさえも、乱暴に言えば9割以上は同じ「住宅思考回路」を持っていた。 たとえば冒頭で触れた「古き良き山の手(地盤強固)vs. 新興の湾岸(埋め立て地で地盤軟弱)」というように、誰でも思いつくテーマを軸に、不動産業界の意に従うようなストーリーを展開してきた。 結論を言えば、9割以上の人は、そうした「不動産目隠し」(住宅マインドコントロール)を外すことができていない。