「親が叶えられなかったこと」を子どもに託すのはアリ?ナシ? 多くの親が見落としがちな視点とは
人は、罪悪感が生まれることはしないようになる
ほかにも、親が人の悪口や陰口ばかりを言う大人なんだとしたら、子どもも同じように真似します。 なぜならこの養育環境は、「人を悪く言うことに罪悪感が生まれない環境」だからです。 親の影響で子どもが嘘つきになるのも、もちろん、嘘をつくことに罪悪感が生まれない環境に育ったから。 なので子どもに対する教育って、親の在り方だけじゃなくて、いかにしてほしくない行いに対して罪悪感が生まれるかどうかも重要だと言えます。 親が人の悪口を一切言わない人間の場合、子どもがクラスメートの影響で誰かのことを悪く言っていたとしましょう。 そのとき親が、「影で悪口言うのとか最低だよ。すごくダサい。あなたが誰かに悪口言われてたらどんな気持ちになる?」と伝えると、子どもは「悪口って言ったらダメなんだ」と学習します。 もちろん、たった1回伝えたぐらいで学習するとは限りませんが、親の在り方と教育方針が合致していたら、子どもはしてはいけないことを学び、その行いをすることに抵抗が生まれます。 特定の行いに抵抗が生まれるということは、その行動を実際にすると、罪悪感が生まれる。 するとこの場合、「子どもに人の悪口を言わせない」という教育は成功するわけです。
子どもは親のことを非常によく見ている
しかし、親が人の悪口ばかり言うくせに、自分には悪口を言ってはいけないと教育をすると、子どもは間違った学習をするようになります。 その一例としてあるのが、親の前で人の悪口は言わないけど、親以外の前で悪口を言う大人になることです。 つまり、「親がうるさいから親の前でだけいい顔しとくか状態」になるわけですね。 このケースはもちろん悪口に限定された話ではなく、親の在り方と教育方針にズレが出ていると起こり得る事例なので、子どもにしてほしくないことは、親もしていないという大前提が必要になります。 そうじゃないと、親はその行いをしてるくせに自分にはやるなと注意するわけですから、罪悪感が生まれないんですよね。 もちろん、生きている人間である以上、親の在り方と教育方針が合致していたら、必ずしも子どもはその行いをしなくなるとは限りません。しかし、少なくとも合致していないことには、子どもにとって何の説得力もないのは間違いないと言えるでしょう。 子どもは親のことをよく見ているというのは本当です。 なので、子どもへの教育を考える上で、まずは自分の在り方を見つめ直すことも必要になるのではないでしょうか。
【Profile】藤本シゲユキ
【悲恋改善アドバイザー改め、リアライフカウンセラー】 京都府出身。17歳から29歳までギタリストとして、バンド漬けの日々を送るが、30歳を迎える前に以前から興味があったホスト業界に転身する。