オーガスタ、ベイヒル、リビエラ…「対コース」の道具選び/駐在レップの米ツアー東奔西走Vol.6
ひとまず、チームのみんなでホッと一息。もちろん松山プロのことですから、勝ったとしてもこれで満足せず、クラブ探しの旅はこれでまたイチからスタートです。優勝した次の試合で、松山プロからクラブのリクエストが入ったので、どこか安心しちゃう自分がいました(笑)。
クラブの準備は「年が明けてから」よりむしろ「年明け前から」
さて、ここから本題です。我々ツアーレップの仕事は、「対選手」という側面が強く見えますが、実際その背景には選手の戦う場である「コース」という存在が大きいんです。もちろん新しいクラブが出れば、その都度選手に試してもらいますが、そうした新製品の試打と同等かそれ以上に重要なのが、コース攻略用の「クラブの準備」です。分かりやすい例えでいえば、「コースが長いから飛ばせるクラブを入れる」、「地面が固いのでウェッジのバウンスを少なくする」、「グリーンの目が強いので、転がりのいいパターを用意する」などといったことも、コースありきのクラブ調整です。 「マスターズ=オーガスタGC」のように毎年同じコースで行われる大会は、我々も腕の見せどころ。毎年のようにラウンドしていますから、選手もレップもコースをイメージしやすい。選手からの注文も細かく入りますし、我々からもコース対策に向けた提案をいろいろとしていきます。
松山プロが出場する試合は年間を通してだいたい決まっていて、同じようなコースでラウンドすることが多い。年明けからハワイ2連戦、米本土に移って「ファーマーズインシュランスオープン」を皮切りに西海岸を転戦。その後、「アーノルド・パーマー招待」からフロリダシリーズが始まり、テキサスの試合を挟んで4月のマスターズを迎えるのが、例年の前半戦の大きな流れです。 僕もツアー帯同5年目になり、ようやくそのサイクルに慣れてきた感はあります。帯同1、2年目は「アレができていなかったな」と後悔することも多々ありました。今でこそようやく分かってきましたが、やはり「事前の準備」がとても大事。新シーズンが始まるハワイの試合に関しては、年末から準備を始めているほどです。 それではこれから、そのシーズン前半戦の「コースとの戦い」を詳しくお話していきます。