欧州在住の長友佑都が切実警鐘「怖いのは医療崩壊」
新型コロナウイルス禍が日本国内でも医療崩壊を引き起こすと危惧するサッカー関係者は、実は長友だけではなかった。PCR検査で陽性反応が検出されたことを自らの意思で公表し、日本で初めて個人名が特定された感染者となった日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長は、3月16日から入院していた都内の病院で18日間にわたって医療現場の最前線を見聞きしてきた。 「いまの医療体制に対してさまざまな意見や批判があると思います。ただ、自分が入院していたからわかることですが、現場の医師や看護師、スタッフ、そして保健所の方々が本当に必死になって、医療崩壊を起こさないように食い止めようとしていることを、みなさんにお伝えしなければいけない」 退院した今月2日に実施されたウェブ形式の記者会見で、田嶋会長はこんな言葉を残している。言及した「さまざまな意見や批判」とはPCR検査そのものの数が驚くほど少ない実情に対してであり、濃厚接触者となる夫人で内科医の土肥美智子さんも、検査を受けられなかったと田嶋会長は明かしている。 「PCR検査を増やさないように努力をしているのではと勝手に想像しています。例えば新型コロナウイルスが指定感染症に指定されたことで、陽性反応を示せばどんなに軽症でも入院して隔離しなければいけない。そうしたルールのなかで感染者がどんどん増えれば、本当に大変なことになるので」 もっとも、田嶋会長が本当に伝えたかった危機は、病床数の問題ではなかった。実際、2日にはPCR検査で陽性反応が出ても軽症および無症状ならば、入院ではなく自宅や指定されたホテルでの経過観察に切り替える通達が厚生労働省から出されている。同会長はこう続けている。 「医療用品の供給についても、多くの方々が懸命に取り組んでいることが分かりました。しかし、そういったものがどんどん足りなくなってきて、なおかつ患者が増えてきたときにはまさに海外の国々で起こっている、医療従事者が感染する状況がどんどん増えてくるのではないか。入院中には医師や看護師をはじめとする医療従事者の方々が、日に日にバタバタしていったのを肌で感じていました」