2024年の国際情勢を振り返り。今年、世界に最もインパクトを与えたのは11月5日のあの出来事【親子で語る国際問題】
2024年は、2025年以降の準備期間のような1年
早くも2024年が終わろうとしています。概観すると、2022年のウクライナ戦争、2023年の中東紛争など、近年で生じた紛争がエスカレートし、台湾情勢では依然として緊張が続く1年だったと言えるでしょう。 一方、2024年の国際情勢は当初から、2025年以降の国際情勢を見据えての準備期間だったようにも思えます。 言うまでもなく、今年最大の世界的行事は11月の米国大統領選挙でした。今年の初めから、世界ではバイデン大統領が再選を果たすのか、トランプ氏が政権を奪還するのかに注目が集まり、世界の指導者たちもそれを見据え、今できることは最大限やっておこうという狙いが見えました。
ロシアとウクライナは、トランプ氏によって終戦が図られることを見据えた動きがみられた
例えば、ウクライナ戦争において、ロシアのプーチン大統領は相手がバイデン大統領だと紛争の解決は見えない一方、トランプ氏ならロシアがウクライナの一部領土を占領する現状での終戦を図る可能性があることから、11月の大統領選まで可能な限り戦況を自らに有利な形に持っていきたいという考えが見られました。 ウクライナのゼレンスキー大統領も、トランプ氏がウクライナ支援に懐疑的な中で、トランプ勝利というシナリオを排除せず、同氏との会談を重ねるなどし、2025年以降のウクライナ情勢を見据えて積極的に対トランプ外交を展開しました。
イスラエルのネタニヤフ政権はトランプ氏の勝利でさらに強硬姿勢に・・・
中東情勢においても、イスラエルのネタニヤフ首相はパレスチナガザ地区のハマスだけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などの親イラン勢力、そしてイランへの強硬姿勢を貫き、今年4月と10月にはイランが初めてイスラエルに向けてミサイルやドローンなどを発射するなど、中東情勢は緊迫の度合いを深めました。 バイデン政権はイスラエル支持の姿勢に徹しているものの、ネタニヤフ政権の強硬姿勢にはバイデン政権も苛立ちを強め、両者の関係は決して良いものとは言えません。 そのような中、米国大統領選でイスラエル寄りのトランプ氏が勝利したことで、ネタニヤフ首相にとっては最高の瞬間が訪れることになりました。トランプ氏の勝利宣言後、真っ先に祝福のメッセージを送ったのはネタニヤフ首相であり、同首相にとってはこのシナリオを前提に戦闘を展開してきた1年だったと言えるでしょう。