イーロン・マスクが「反省文」を発表し大敗北…世界3位の「SNS大国」にX社がついに頭を下げたワケ
最高裁によってX(旧Twitter)が停止していたブラジルで、40日ぶりにサービスが再開した。背景には、Xを所有するイーロン・マスク氏の「心変わり」があるという。サンパウロ在住フォトグラファー兼ライターの仁尾帯刀さんがリポートする――。 【図表】Xの国別ユーザー数ランキング。日本の順位は…… ■ブラジルが40日間の「X禁止令」から解放された ブラジル連邦最高裁判所は、アレシャンドレ・デ・モラエス判事の命令により8月30日から停止されていたX(旧ツイッター)のサービス再開を10月8日、発表した。40日に及んだサービス強制停止期間がようやく終わりを告げた。 Xがサービス停止に至った経緯は9月13日公開の「イーロン・マスクが世界中で「表現の自由」を振りかざした末路…“Twitter大国”が「利用停止」に踏み切ったワケ」を参照してもらいたい。端的に述べると、フェイクニュースを垂れ流していたアカウントの停止とそれに伴う罰金の支払いを求めていたブラジル政府に対し、イーロン・マスク氏が「表現の自由」を盾に拒んだ結果、最高裁にX停止を命じられたのだった。 ■77億円の罰金支払いと引き換えにサービス再開 突然のアクセス不可と主要メディアの報道により、サービス停止直後はブラジル全国で賛否真っ二つの論争が展開されていた。 サービス再開はXの勝利かといえば、答えは真逆で、ブラジル最高裁に完全に屈服した結果だ。イーロン・マスク氏率いるXは、偽情報を拡散したとされる9つの特定アカウントの削除、法定代理人の任命、罰金2860万レアル(約77億円)の支払いというブラジル最高裁の要求すべてに応じることで、サービス再開にこぎ着けたのだった。 サービス再開にあたってXは、「ブラジルでの再開を誇りに思います。この度の経緯を通じて、弊社の不可欠なプラットフォームへのアクセスを何千万人ものブラジル人に提供することが最も優先すべきことでした。私たちは事業を行ういかなる場所でも、法の範囲内で言論の自由を守り続けます」とユーザーに向けた声明を発表した。