実は“隠れ外反母趾”かも!?原因は靴の形だけじゃない!治療方法や改善策は?
湯浅慶朗の「一生自分で歩く足育塾」1
「外反母趾(がいはんぼし)」は、常に上位にランクインする女性の足のお悩み。まずは外反母趾のセルフチェックで進行度を確認してみましょう。足指研究所・湯浅慶朗さんが、外反母趾とは、またその原因と治療法について解説します!
外反母趾かも?診断基準&自宅での「セルフチェック」方法!
外反母趾とは、足の母趾(親指)が小指側に曲がっていく病気のことです。レントゲン撮影で、親指の骨が小指側に20度以上曲がっていれば外反母趾と診断されます。 ■外反母趾のセルフチェック方法 足の内側にボールペンなど真っすぐなものを当て、親指の爪の部分との間にできたすき間に手の人差し指を入れます。足に当てたボールペンのラインが本来の親指の位置です。 ・すき間に指が入らない:正常 ・すき間に指が1本入る:軽度外反母趾 ・すき間に指が2本入る:中等度外反母趾 ・すき間に指が3本入る:重度外反母趾 ■女性が8割以上だが、男性の外反母趾患者も急増中 厚生労働省の患者調査によると、1984年から2016年の約30年間で、外反母趾の患者数は約8倍に増加しています。 外反母趾患者の男女比は、女性が圧倒的に多く、全体の84.5%を占めています。しかし、患者の毎年の増加率でみると、男性は13.1%、女性は6.8%で、男性の増加率が女性のおよそ2倍と男性の外反母趾患者が急増していることがわかります。 外反母趾の原因の一つに、足の筋力低下があるので、運動習慣のない男性や子どもが増えたことが背景にあるのかも知れません。
外反母趾の原因は足の筋力低下!扁平足や遺伝の影響も
以前は外反母趾の原因は靴の形だとされていましたが、近年では靴の形の他にも、性別・体質・遺伝などの内的要因や、歩き方や姿勢などの外部要因が複雑に関係して発症することがわかっています。 中でも近年問題になっているのが、筋力低下による足のアーチ構造の変化です。 ■内的要因(扁平足、遺伝) イギリスで行われた調査によると、外反母趾患者のうち手術をした人の58%に家族歴があるそう。また、外反母趾の患者の家系を調べた結果、3世代(祖父母・父母・子)以内の家族の外反母趾発症率は、スペインでは90%、アメリカでは84%と報告されています。 また、遺伝的要因で先天的に扁平足である人は、土踏まずがある人に比べて外反母趾になりやすいこともわかっています。 ■外的要因(靴、足の筋力低下) 下のグラフをご覧ください。靴を履かない裸足生活の人の外反母趾の発症率は2%以下といわれています。一方、靴を履く人は女性で48%、男性で16%に外反母趾の症状があります。 このように、靴を履く習慣があると外反母趾の発症率は高くなりますが、どの種類の靴をどの程度の時間使用すると外反母趾を発症するかという点はいまだに解明されていません。 靴の形以上に、外反母趾の原因で注目すべきは、足のアーチ構造です。健康な人の足は、骨がアーチ状に積み重なって、立ったときに土踏まずの部分が地面から浮いた状態となっています(土踏まずが地面についた状態は、扁平足と呼ばれます)。 足のアーチ構造は3つ(横アーチ・外側縦アーチ・内側縦アーチ)あり、どんな場所でもバランスよく立つためのカメラの3脚のような役割をしています。 ところが、足の筋力が低下すると、体重の重さで「横アーチ」が崩れて開張足(かいちょうそく)となります。 開張足になると、足の横幅が広がるため、小指の根元から親指の付け根にある母指内転筋(ぼしないてんきん)という筋肉が伸ばされてしまいます。 伸ばされた筋肉は元に戻ろうとする力が働くので、親指を小指の方へ曲げようとします。これが、外反母趾の本当の原因です。 外反母趾は「外反母趾」という病名なので、母趾=親指に原因があると考えがちですが、実は親指が原因ではありません。そこには「足のアーチの崩れ」という原因があり、結果として母趾=親指が外側に曲がっているだけなのです。 似た症状の病気に内反小趾がありますが、内反小趾の原因も同じように足のアーチの崩れにあることがわかっています。