【検証】練馬区2歳女児死亡事故はなぜ起きた? ミニバンの窓スイッチ誤操作から子どもの命を守る、チャイルドシートの使用法
子どもはどの席に座らせるべきか?
このほか、現在は安全基準が旧式となったため生産終了している「スマートキッズベルト」など、座面を持たずシートベルトの高さだけを調整するベルトガイド式ジュニアシートも存在する。 旧基準(ECE R44/04)であり2023年8月末で生産終了となっているが販売する分には問題ないためコストコなどで安価に販売されているケースもまだある。このタイプも身長125cm以降で使うことが国連の安全基準では推奨されている。 事故で亡くなった2歳女児は運転席の後ろに座っていたことが明らかになっている。大人ひとり、子どもひとりで乗車する場合、この位置は絶対にNGだ。 運転席の真後ろに座っている状態では子どもの様子を確認するのが困難で実際、今回の事故では首が挟まれてぐったりしておとなしくなって初めて母親が異変に気付いている。真後ろで見えにくい位置に座らせていたことも、今回の死亡事故を招いた原因といえるだろう。 大人ひとり・子どもひとりの場合は運転席の斜め後ろ、つまりは助手席の後ろに座らせるのがマスト。お互い顔が確認しやすく、子どもにとっても親の姿が視界に入って安心感も生まれる。 かつては後部座席が3人乗りである場合、中央席にチャイルドシートを装着することが推奨されていた。 しかし、ISO-FIX金具の標準装備化(2012年7月1日~)に伴いISO-FIX金具のない中央席ではなく、後席の左右いずれかへの設置となった。子ども一人を乗せる場合は右側(車道側)ではなく、左側(歩道側)に乗せるのが安全である。 乗車中の子どもの安全について無頓着な保護者が増えているように思う。チャイルドシートは「ただ置いている」だけでは何の役にも立たず危険物でしかない。 ハーネスはきっちりきつめに締めて常にルームミラーなどで子どもの様子を確認しながら運転してほしい。
加藤久美子(執筆/撮影) 香野早汰(編集)